「逆転の豪華客船」 第一探偵パート その3
作者: skyblue   2008年03月25日(火) 17時41分06秒公開   ID:BEgAk88pjyo
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「えぇっと・・・・。
1時間半後ぐらいには、終わっていたと思います。」

打ち合わせが始まったのが5時。
ってことは終わったのは、6時半ごろってことか・・・・。

「ところで、控え室はA、Bともカギはついてるんですか?」

「はい、ついてますよ。
あ、それとカギは、スタッフと僕しかもってなかったと思います。
ちなみに、どっちもカギは同じだったハズです。」

「その、朝の打ち合わせ事件があった時間帯、カギはかけていたんですか?」

「・・・・・・・。
よく、おぼえてないです。
多分、かけたと思うんですけど・・・・。」

うぅ・・・・。
そこははっきりしてほしかった・・・・。

「じゃあ。じゃあ。
犯人は、ニボシさんを抜けて、スタッフの中の誰かだね!」

真宵ちゃんが、うれしそうに言った。
犯人がしぼれた!と思っているのだろう。

「いやいやいやいや!
そうとはかぎらないだろ。事件があったとき、カギが開いてたら、ニボシさんやスタッフの人たち以外でも、入れたわけだし。」

「うーん。
そう言われりゃ、そうだねぇ。」

ニボシさんのマネをしているのか、腕を組む真宵ちゃん。

「あのー・・・・
お言葉ですけど、スタッフや僕以外の人は、無理かと・・・・。」

「え。
なんでですか?」

・・・・ぼくも、そう思う。
なんでだろう。

「閉まってたんです。カギ。
発見される前まで。」

・・・・なるほど。
そういうことか。

「あれ。そうなんですか?
そっか、それなら出て行くときに閉めたんだから、スタッフかニボシさんしかいないってことになるよ!」

「ん?
ってことは、誰かかドアぶち破ったんですか?」

そいつが第一発見者、ということになるな。

「いや、僕が開けたんです。
・・・・中から。」

い、今、なんと・・・・?

「あそっか、ドアぶち破らなくてもニボサブさんが、外からカギをつかって開ければいいんだね!」

ぼくは、できれば今のは幻聴として、かたず
けてしまいたかった。
でも、やっぱり・・・・
そういうわけにはいかないよな・・・・。

「ちがうよ、真宵ちゃん・・・・。
もう一度、ニボシさんがさっき言ったことを復誦してみろよ・・・・。」

真宵ちゃんが、復誦しだした。
できれば、してほしくない・・・・。

「えぇーと。
いや、ぼくが開けたんです。
な、なな、中から・・・・。」

真宵ちゃん、言葉を失ったみたいだな・・・・。
・・・・そりゃそうか・・・・。

「あ、あの。
てことは、発見されるまで被害者といしょにいたんですか?」

ぼくは、今出せるせいいっぱいの声を出して言った。
多分、これでもふるえて聞きづらいだろうな・・・・。

「うーん・・・・。
それが、よくおぼえていないんですよ。
なんか眠くなっちゃって、それで後ろの頭部を殴られたような・・・・。
それで気づいたら、ドアの前に倒れていたんです!その、哀乙砕さんが!」

ぼくは今、ニボシさんが新たなことを言ったのを聞き逃すわけにはいかなかった。だから、自分の頭の中で復誦した。
後頭部を、殴られた。だって・・・・?

「ちょっと待ってください、ニボシさん。その、後頭部を殴られたって、いつのことなんですかっ!」

ぼくは思わず、大声で机をたたいて言ってしまっていた。
ニボシさんと真宵ちゃんが、ビックリした顔でこっちを見てるぞ・・・・。
そして、ニボシさんが話し出した。

「あ。あの、控え室Bに入って何か眠いなぁ。と思った瞬間です。・・・・だと思います。」

? 何か、ニボシさんのしゃべり方があやふやなのが気になるな・・・・。
そのとき、眠かった。って言ってたよな・・・・。それで、よくおぼえてないのだろうか?
まぁ、とにかくそのときのことをまとめてみると、ニボシさんは、控え室Bに入ってぼーっとしていたら、
後ろから来た誰かに後頭部を殴られた。・・・・ような気がする。ってことか。
それで、気がついたときに哀乙砕さんがいて、ボーゼンとしていたら、
ドアをノックされたから、開けたのか・・・・。

「なるほどくん!
その、ニボサブさんを殴った奴って、誰なんだろうね?」

真宵ちゃんが、少し興奮して言った。
そこをぼくに聞かれても、今のところはノーコメントとしか言い用がない・・・・。

「今のところはまだ分からないな。それに、あのとき船にはたくさんの人がいたんだ。
パーティー中だったとはいえ、トイレに行っていたり1人で行動していた人たちなんかは、当然、アリバイがないわけだ。」

「うひゃあ・・・・。
それじゃ、その中から犯人を見つけなくちゃいけないんだね。」

そういった瞬間、真宵ちゃんが全身の力を抜いたのが、ぼくにも分かった。

「そういうことになるな。
それ以前に、もうパーティーは終わっているし、わざわざ犯人からのこのこ姿を現すとは考えにくいことだし・・・・。」

ぼくは顎を手でさすりながら言った。これをやると、結構頭が冴えて、新しい考えが浮かんできたりする気がする。
だけど、今のぼくにそんなことが起こるはずもなかった。

「なるほどくん・・・・。
今回も、絶対絶命だね・・・・。」

「・・・・。」

話題を変えよう・・・・。
あれについて、聞いてみるか。

「朝の打ち合わせのときは、途中で少しでも抜けたりした人はいませんでしたか?」

「うーん・・・・。そうですね。
そういえば1人いましたよ、少し抜けた人。
破貞 元気(はつら げんき)っていう、スタッフです。」

やっぱり、抜けた人がいたのか!

「なにをしにいったのかとか、わかりますか?」

「トイレに行くとかいってましたよ。」

トイレ、ねぇ・・・・。
ホントにそうなのだろうか・・・・

「なるほどくん。
なんでそんなこと聞くの?
・・・・スゴく、うれしそうだけど。」

「さっきのメモだよ。」

ぼくがそういうと真宵ちゃんが、なんで?という顔で見てくる。

「打ち合わせが終わったのが6時半で、ニボシさんが控え室に戻ったとき机の上にメモがあった。
そうですよね?ニボシさん。」

ニボシさんが大きくうなずいた。

「はい。そうです!」

「だとすると、メモが置かれたのは
打ち合わせが始まった5時から6時半までのあいだってことになるだろ。
ってことは、そんな朝早くに来る人はそんなにいないだろうし、もし、カギがかかっていたとすると、
メモが置けるのは、打ち合わせの最中に抜けた人しかいないってことになる。」

「うん。そうだね・・・・。
あれ。でも、5時より前ってこともありえるんじゃ・・・・。」

「まぁ、確かにカギが開いていたならそれもありえると思うけど、
かかっていたとしたら、ありえないよ。」

一緒に腕を組む真宵ちゃんと、ニボシさん。
真宵ちゃん、腕を組むの気に入ったのだろうか?

「なるほどくん!なんで?」

「だって、ほら。
打ち合わせの前に、1回控え室Bに行ったって、言ってただろ?
そのときは、机の上にメモはなかったんですよね?」

「はい、多分そうでした。」

「だから、カギがかかっていたんなら、
その人だなって。」

ニボシさんが思い出してさえくれれば、その人で決まりなんだけどな・・・・。

「うーん・・・・。
じゃあ、きっと、その人がトイレに行くときに置いたんだね!」

そうだ。ぼくもそう思うんだけど・・・・

「そう考えると、ムジュンしてるんだよな。」

「え。なんで?」

「だって、その打ち合わせ、ニボシさんもいたんだぞ。
なんでわざわざ、トイレに行くとか言って、メモを置きにいったんだろう。」

直接わたすほうが早いしな・・・・。

「・・・・ね、なるほどくん。
その人に直接、話を聞いてみようよ。」

「うん。
それがいいみたいだね。」

「あ。破貞さんなら、
今日は多分きのうのパーティーの片付けがあってるはずですから、船内のどこかにいると思いますよ。」

「ニボサブさん。ありがとう!
じゃあ、さっそく船に行こうよ。なるほどくん!」

真宵ちゃんが行こうとしているけど、ぼくにはまだ、聞いておかなければならないことがあったはずだ。

「待って、真宵ちゃん。
ニボシさん、もう1つ聞いてもいいですか?」

ぼくがそう言うと、ニボシさんがなんだろうという顔でぼくを見た。

「はい。どうぞ。」

「確か、きのうのパーティーのとき、
ショーがあるとかいってましたよね?
あれは、ホントにあることだったんですか?」

「あ。なるほどくん、
ホントは見たかったんだ!」

なんでそんなにうれしそうに言うんだよ!

「ちがうよ!
あの日、ニボシさんはぼくたちに、ショーの準備があるとかいってたけど、
実際、なかったじゃないか!」

ぼくと、真宵ちゃんが言い合っていると、ニボシさんがしゃべりだした。

「あの、そのショーはですね、あるはずだったんですよ。パーティーの一番最後に。
・・・・でもそのショー、よくわからないんですよね。
朝にいきなり誰かのわがままで、やるってことになったみたいです。」

「ってことは、誰がそのショーをやりたいと言い出したのかは分からないんですね?」

「はい、そうです。
あ、でも。ぼくが、ショーの準備があるっていったのは、あのメモのことがあるんです。読んだ感じ、準備でもするんだろうなぁって。」

「・・・・誰が書いたのかも、わからないのにですか?」

「はぁ。まぁ・・・・。」

ニボシさんが、腰を低くしていった。
なんか、オカシイ・・・・。

「ニボシさん・・・・。
もしかして、このメモを書いた人に心あたりがあるんじゃないですか?」

「え・・・・。」

ジャラジャラジャラ・・・・
ガシャン!

ニボシさん、どうやらメモを書いた人に心当たりがあるみたいだな・・・・
■作者からのメッセージ
前と比べるとスゴく、長くなってしまいました・・・・。
そういえば、まだ実際には出ていませんが、破貞という人がちらりと話の中で出てきましたよね。
その人、自分のイメージを絵にかいてみたんです。・・・・スゴいのになりました。
見せたかったです。って、どうでもいいですよね。
次回も楽しんで見てもらえると、いいなとおもいます。例の破貞も出てくる予定です。

いきなり一部、内容を大幅に変更してしまって、すみませんでした。
(もうしかすると、またこんなことがあるかもしれません…。)
でも、極力そんなことがないよう気を付けたいと思います。

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