逆転裁判小説集 逆転の水晶
作者: 東条   2010年02月22日(月) 17時19分38秒公開   ID:Uk/VlOgR0.A
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1章 逆転の水晶


プロローグ


「何すか、こんな所に呼び出して・・・・・・」

男が部屋に入ると、もう一人の男が喋り始めた。

「おまえには、占いの才能なんてない・・・・・」

「行き成り、何ですか!」

「もうおまえは、おしまいだ、俺がいる限り」

男は言いたい放題言われて、腹を立てた。

・・・・・・・・

怒りに身を任せ、近くにあったもので衝動的に2回殴ったのだ。

ドサッと音とともに、男から汗が出ててきた。


「し・・・・死んでいる・・・・・・・」


このままでは、捕まると男が思った刹那に、


「すいません、占いにきた者ッスけど」


この時、男に悪魔のささやきが聞こえたのであった。




つづく

法廷記録

人物

須々木 マコ この事件の被告人、被告席に立つのは3度目

水 将(53) この事件の被害者、かなりの腕の占い師

大沼 勝義(36) 占い師、被害者の弟子、事件の目撃者でもある

亜内 武文  検事、押しが弱く、頼りない

担当検事 亜内 武文

証拠品


弁護士バッジ これをつけると身が引き締まる

現場の見取り図 ドアと窓は離れており、殺害現場はドア付近。
        左の窓が、一つ棚でふさがれている。
        窓は、二つある。

被害者の解剖記録 被害者 水 将(53)
         死亡推定時刻 6時00〜7時00
         死因 前頭部への2発の衝撃による撲殺

糸鋸の調査書  窓台には証人の指紋は残ってなかったと書かれている。

水晶      被害者の血と真犯人の指紋が付着。






逆転の水晶
       探偵

9月26日 午前11時23分 成歩堂法律事務所


「なるほどくん、お腹すいたよぉ〜!、みそラーメン食べに連れてって」

「マヨイちゃん、今月は厳しいんだよ」

僕の名前は、成歩堂 龍一。
最近は、有名になってきたが、頼りないと言われる。
お腹を空かせているのは、真宵ちゃん僕の助手だ。

「今日ぐらい、連れてってよ、最近全然行ってないじゃん!」

「仕方ないな、特別・・・・・・・」

この時、とてつもない大きな声とともに僕の声は遮られた。
その瞬間に扉が開き、そして物凄い勢いで誰かが走ってきた。

「大変っス、マコ君が〜〜〜〜!!!!!!」

「イトノコ刑事!」

落ち着くのには、6分ほど掛かった。
どうやら、須々木 マコさんがまた、逮捕されたらしい。
彼女は運が悪く、公園の事件レストランの事件と僕に依頼を頼んできた。
だが、彼女は全く悪くないのは、勿論知っている。
運が悪いだけなのだ。
イトノコ刑事に頼まれ、僕は弁護をすることになった。

同日 12時4分 留置所

「須々木 マコ!神に誓ってやってないっス!」

「それは、分かってます、事件の事教えてくれませんか?」

「事件は、占い館で起きたっス、被害者は水将さんっス!私占いしてもらおうとして現場に入ったら、行き成り後ろ頭叩かれたっス!その後目覚めたら、手に血が、横には死体が最悪だったっス!」

どうやら、まだまだ証拠は裁判で出てきそうだとりあえず現場にいってみることにした。
その後、僕は須々木さんと別れると現場に向かったは良いものの警察が捜査した後なので、ほとんど手がかりは残ってなかった。
現場の見取り図ぐらいしか、武器はない状態で勝てるのか。

どうやら、この裁判厳しくなりそうだ。



つづく




逆転の水晶
       法廷

9月27日 10時34分 被告人第7控え室

「とにかく急いでください、それでは」

僕は、ある人物に電話をした。
今回の事件の切り札を持ってくる人物だ。
その人物が到着するまで、僕は粘り続けなければならない。
この法廷、やはり厳しくなりそうだ。


同日 11時26分 地方裁判所第7法廷

「これより、須々木 マコの法廷を始めます」

この白い髭のおじいさんは、裁判長。
威厳がありそうだが、じつはお茶目で気弱。

「弁護側準備完了しております」

「検察側準備できております」

この、頭のが薄くインパクトのない検事は・・・・・・・・。
覚えていない、きっと初めて戦う検事なんだろう。

「亜内検事、冒頭弁論を」

「事件はy市の占い館で起きました、被害者は水 将(53)硬い凶器で2発殴られたようです。ちなみに、これが解剖記録です」

「証拠品として受理します」

解剖記録か、よく調べたほうがよさそうだ。
こういう証拠品から、矛盾を探していくこれが僕の弁護スタイルなのだから。

「被告人を逮捕した理由は、まず、ドア側に仰向けに被害者が倒れておりました、その近くに被告人も倒れていたのです、手には被害者の血が付着しておりました、凶器が見つからないこれが最大の謎ですが、目撃証人までいるのです、証人も凶器は見えなかったといっておりましたが、
犯行の瞬間が見られ現場状況が被告人が犯人だと示している、逮捕理由は十分でしょう」

目撃証人か、やはりいたな。
須々木さんが無罪である限り、この証人は嘘をついているはずだ。

「それでは、証人に登場してもらいましょう」

5分後

「証人名前と職業を」

「大沼 勝義、占い師だ」

男の癖に、長い髪をしており、それを弄っている。
この人は、被害者の弟子。
殺害動機は、須々木さんよりあった可能性が高い。

「占いの道具を片付けていたら、妙な感じがした、窓から殺害現場を覗いてみたら、被告席の人と師匠が争っていた、被告席の人の顔から間違いなく殺意があると分かった、殴られて死んだよ、時間は6時30分だった」

「大沼さん、水さんの部屋は2階にあったんですよね」

大沼は少し動揺したが、また余裕そうな表情を見せ。
髪を弄り始めた。

「確かに2階だが、窓台に手をついて、ジャンプすればとどく」

「証人の背からも、ジャンプすればとどきます、異議はありませんね」

なるほど・・・・・・・この証言が崩せなければ
完全に終わりだろう、勝ち目はほぼ0だ。
大沼は、余裕そうだった。

「ナルホドくん、今の証言変じゃなかった」

「おかしいって、証拠品とは矛盾しないよ」

どうやら、マヨイちゃんはこの証言に違和感を感じているようだ。
今まで法廷で発言された事を思い出して、発想を逆転させるんだ。
今の証言とあの一言おかしくないか。

「裁判長、検察側は次の証言に移りたいとお思いますが・・・・・・・」


「異議あり!」

法廷中の視線が集まってくる。
この感覚、昔は緊張したが今は快感になってきている。
よし、ここから逆転だ。


つづく


逆転の水晶
       法廷2

「証人、貴方は被告人の顔を見たのですよね」

「そうですが、何か?」

「それは、おかしい!」

「えっ!?」

後は矛盾を突きつけるだけだ。
僕の人差し指に力が入った。

「検事の言葉を思い出してください!被害者はドア側に仰向けに倒れていたと言う事は、倒れる前は窓側を向いていたことになります、被害者は前頭部殴られていた、と言う事は犯人は被害者の前にいてドア側を向いていた事になります」

「つまり、証人に被告人の顔が見えるはずがありません」

「うぎゃああぁぁぁぁぁぁ!」

検事は、少ない髪の毛を上に向けて驚いている、このリアクションだけ妙にインパクトがある気がする。

「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

大沼は証言台に頭をぶつけ始めた。
かなりの、スピードだ。
矛盾を暴く快感これも弁護の楽しみのひとつだ。

「静粛に!静粛に!」

「異議あり!そんなの・・・・・・・些細な事です」

「異議あり!この証人の動揺ぶりを見てください、些細とは思えません」

傍聴席もざわざわしてきた。
どの、言葉も弁護側が有利な言葉だらけだ。
傍聴人を味方につけた、後は・・・・・・・

「証人、私には今の矛盾がが些細とは思えません、今の理由を説明できますか」

「勿論だ」

一つの嘘はやがてもう一つの嘘を生み出す。
そして、矛盾を解いていけば切り札は来るはずだ。

「被告人の顔を見た後、師匠はドア側に逃げた、一発殴られていたのでよろよろだ、簡単に追いつかれ、後ろ頭を叩かれたよ」

「特に不自然な点は今度こそありませんね・・・・・・・」

「異議あり!」

どこが不自然な点がないんだ、穴だらけじゃないか

「証人、被害者は後頭部を殴られたんですよね」

「そうだが」

「解剖記録を見てください、記録じゃ前頭部ですよね、後ろ頭なんて書かれてないじゃないですか」

「うそだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

さっきの動揺より、声のトーンも頭をぶつけるスピードも上がっていた。

「証人一体事件をどこから目撃したのですか」

「左の窓ですけど」

「現場の見取り図では、塞がってますよ左の窓はタンスのせいで!」

そろそろ、この時だ。
この人物を告発する。
この人物も動揺は頂点まで達している今がチャンスだ。

「貴方は、犯人の位置にいたんじゃないんですか、弁護側は大沼 勝義を告発します」

行き成りの展開に周りは騒然だった。
大沼はひたすら頭を証言台に叩きつけている。

「事件は衝動的に起こりました、2発前頭部に何かを叩きつけ、貴方は焦ったでしょう死んでしまったのだから、しかも須々木さんが来てしまった、このままでは不味いと思った貴方は須々木さんに罪をなすりつけることにした、凶器は衝動的で指紋を拭く時間がなかったので持ち去ったのでしょう、先ほどの矛盾の答えは事件当日須々木さんは何者かに後ろ頭を殴られたそうです、貴方は殺人のショックで記憶がぐちゃぐちゃになった、だから矛盾ができてしまったのです、まだあります、左の窓の矛盾も実際に部屋の中から見たら右にタンスがある様に見える、部屋の中から見たのでなければこの矛盾は起きません!」

しかし、大沼は平然としている。
罪は認めていないみたいだ。
しばらくすると、喋り始めた。

「決定的な証拠はあるのか、ないのなら帰らせていただく」

決定的な証拠、切り札か。
そろそろ、来ていいいはずだがまだこない。
不味い、せっかくここまで追い詰めたのに。

「貴方の反証は一歩及ばなかった様ですね、非常に残念ですが、大沼 勝義に対する尋問は終了するしかありませんな」

裁判長も納得しちまってるぞ。
どうすれば。

「どうやら、無い様です証人を退廷させてください」

せっかく、ここまで追い詰めたのに。
ごめん、須々木さん無罪にすることができなかった。

「待ったっス!」

法廷の扉が、開いた。
そこには、切り札を持った、汗だらだらのスーツがしわだらけのイトノコ刑事がいた。

「あれの、調査をしてきたっス、これが調査書っス!」

調査書が届いた、読んでみると予想通りだった


「裁判長、これを見てください」

「これは、窓台の指紋を採取した結果、証人の指紋は・・・・・・・なかったですと〜〜!!」

「その通り、窓台に手をつけジャンプをすればとどくと言ってましたよね、つまり貴方は窓からは見ていない、と言う事は貴方は見れるはずがなかった!現場には何処にも覗ける場所はありませんから、つまり貴方は室内にいたそうなれば答えは一つしかない、水さんを殺害した
・・・・・・・反論はありますか?」

静かになった。
聞こえるのは大沼の頭を証言台に打ち付ける音だけだった。
しばらくすると、ポケットから水晶が転がってきた。

「この水晶に血がついております」

「おそらく、これが凶器だったんでしょうね」

大沼は冷静になり、動機を語り始めた。

「あいつに言われたんだ、あいつに・・・・・・・」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「おまえには、占いの才能なんてない・・・・・」

「行き成り、何ですか!」

「もうおまえは、おしまいだ、俺がいる限り」

「おまえの占いがインチキだって事をばらしてやる!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「あいつは、俺に占い館1の占い師の座を俺に取られることを恐れ俺を脅迫した、そんな事をされれば、生活もできない何より大好きな占いもできない、勿論俺の占いはインチキじゃないだが、あいつに言われれば、証拠がなかろうが俺はインチキにされちまう!だから、だから!殺したんだ」

「被告人須々木 マコに判決を言い渡します・・・・・・・・・・・・・・・ 無 罪 」

こうして、この事件は解決した。
哀れな一人の占い師と血にまみれた水晶とともに。


9月27日 3時13分 被告人第7控え室

「ナルホドさん、イトノコ先輩、マヨイさん有難うございました」

「そう言えば、どうしてイトノコ刑事に窓台指紋を調べさせたの」

「目撃証人が、一番怪しいと僕は考えたんだけど、覗ける所は一つしかない!しかも、ジャンプしないと無理そうなったら窓台に手をつき見たと証言するに決まっているからね」

「やっぱり、依頼して良かったっス!」

須々木さんはうるうるした目で見つめている。
マヨイちゃんも喜んでいたが、急にお腹の音が鳴り出した。

「お腹すいちゃったよ、ナルホド君!」


「だったら、うちのレストランで無罪お祝いをするっス!」


げっ!あのレストラン!。
あのレストランは、ある事件で言ったことがあったが、激マズの料理とめちゃくちゃ高い額と最悪な店だった。

「今日は盛り上がろう!ナルホド君!」

⇒To Be Continued...

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