逆転裁判小説集 逆転のホームラン 後編 | |
作者:
東条
2010年02月22日(月) 17時18分27秒公開
ID:Uk/VlOgR0.A
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「僕は自分に疑いが回れば自白を考えていましたし、物的証拠がない事ぐらい分かってましたよ、最初から」 あちゃー、しっかり見透かされている。 僕ももっと腕を磨かないとな。 「もう一つ教えたいことがあるんだけど、君は秋山も角田も反省していないって言ったよね、角田氏はどうかは分からないけど、少なくとも秋山さんは反省していたんだと思うよ」 「面白い事を言いますね、今度は物的証拠を見せてくださいよ!弁護士さんらしく」 やっぱり、そう言うよな。 この事件の最後を閉める証拠品をつきつけてやる。 「くらえ!秋山さんの帽子だよ、裏を読んでみてよ」 「[僕はある一人の男を死なせてしまった、これからそれを反省し一生その罪を被っていく事を誓います]、もう、遅いんだよ。 法廷中にも言ったけど、復讐したって心は晴れないなんて分かっていたんだ! そんな事、もう何もかも遅いんだよ」 彼は初めて涙を見せた。 我慢強そうな、彼が。 そして、僕は優しい声で語り掛ける。 「まだ、遅くないよ」 その言葉に、青山は顔を上げる。 「僕も、沢山の事件を経験したから分かるけど、昔の事件でこんな事を学んだんだ。 確かに、もう過去は変えられない、でも君がこれからそうする様に罪を償わなければいけない。 それは、何故かってそれは今度こそ前を向いて明日へと歩き出すためなんだよ。」 すると、青山はすぐに泣き止み。 最後にこんな言葉を残した。 「ありがとう、弁護士さん」 この言葉は、僕の心に響き渡った。 こうして、5年前の忌々しい事故は本当に解決したのである。 おわり |
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