逆転の聖夜に
作者: 被疑者A   2009年01月18日(日) 18時40分58秒公開   ID:PccG.Ft8hx.
   逆転の聖夜に オドロキ編


 12月24日 少し高めのレストラン
「いいんですか?こんな高いところごちそうしてもらっても?」
俺は今、大勝負の真っ最中だ。俺は今年のクリスマスこそ彼女を作ろうと思い、前天江から気になっていた春美ちゃんに告白するためにここのレストラン(ちょっと高級な感じがする)に誘ったのである。なぜなら俺は今年こそは可愛い彼女を作って楽しくクリスマスを過ごすという願望を果たすために今日は春美ちゃんをこのレストランに誘ったわけだ。ぶっちゃけ告白と言うのはいつの年になっても恥ずかしい。いざしよう、と思うとすぐに緊張してしまう。だが告白は先手必勝!早速俺は春美ちゃんに声をかける。
「あのさ俺とつきあって・・・」
声が出ねー!途中で詰まってこれ以上言葉が出ねー。
「あの、どうしたんですか?オドロキ君?」
だめだ、答えたいけど声が、声が全く出ねー
「あの大丈夫ですか?なんかかなり危険な状況みたいですけど・・・」
「いや、ごめん、あの、ちょっと俺、トイレ。」
    
       同日 トイレ
チックッショー!なんてダメなやつなんだ俺は!告白どころかトイレに逃げ込んできちゃったじゃないか全く、俺のろくでなし。次こそは、ええい、告白の前にここで練習だ。
 
   −30分後ー レストラン・店内
よし、こんどこそ
「春美ちゃん俺と付き・・・」
「合ってくださいですか?私は全然OKですよ。オドロキさん。」
まさにキセキとしか言いようのない状態だった、そして、その後、春美ちゃんに
「折角ですから乾杯しません?この夜を祝して。」
「そう、しようか。」
「「この聖夜に、乾杯!」」

 〜オドロキ編 完〜
  逆転の聖夜に イトノコ編
 12月 24日 警視庁・捜査一課
「なんでこうクリスマスの日に自殺ばっかするんですかね〜先輩。」
自分の部下の石崎巡査部長が刑事ならクリスマス誰でも嘆きたくなるようなことを嘆いている。
「まぁ仕方ないッスよ。自分だって早く帰って息子にプレゼント買ってあげたいッスよ。」
「先輩、そのなになにッスて言う口癖やめてもらえません?気ぃ遣っちゃうんで。」
「そんなことぼやいてないでさっさと書類整理するッスよ、石崎」
「はい。」
やっと石崎が面倒くさいことを言わなくなった。かと思ったら急に隣の鑑識課からかなり怖い目をした、法ヶ検事が出てきた。この人は表情に出ない分、目などに出るからさらに怖い。
「おや、糸鋸警部じゃありませんか。あなた、今日クリスマスでしょう、最近夫婦仲がかなり悪化していると聞いていますよ。こんな日ぐらい家に帰って、息子さんと一緒に、ささやかなクリスマスパーティーでも開いたらどうですか?」
法ヶ検事の言ったことは事実だった。家庭を顧みず仕事をしていた反動か、最近かなり女房の須々木マコとの仲はかなり険悪になっていた。特に本庁に異動してからは。
「あ、先輩、いいな。ねぇ法ヶさん、俺も。」
「そんなに帰りたいなら勝手にどうぞ。」
「え、本当ですか!」
「まぁあなたの場合は見事に仕事をすっぽかしたと監察官に報告しますけど。」
「法ヶさん、ひどい。」
こんなコントな様なやり取りを聞きながら、
自分は早帰りした。早く息子と女房の笑顔が見たいと思いながら。
     逆転の聖夜に 茜編
   12月24日 デスニーランド
「もう、饗也ったら遅い〜。」
私は今、恋人である。牙琉饗也との待ち合わせをしているのだ。今ちょっとばかし饗也が遅れているのだ。まぁその理由は饗也が出世したからだし、私も本庁に異動してからは若干遅れるようになった。
「ごめん、茜君。ちょっと特捜の仕事が遅れちゃって。」
ちなみに特捜と言うのは東京地検特捜部のことで東京地検の花形部署である。
「そう、それじゃ行こ、牙琉さん。」
わたしには一個悩みがある。それは私は一人きりの時は饗也を名前で呼べるのだが二人きりになると緊張して名までは呼べなくなってしまうのだ。まぁそれだけが悩みだから多分楽な方なんだろうな。
「じゃ、茜君いこうか。」
「はい!」
それから私と饗也はいろいろなアトラクションに乗ったりレストランにいってディナーを食べたりした。
   12月24日 パレード広場前
「ねぇ茜君少し目をつぶってくれないか?」
そう言われて私は目を閉じた。
次の瞬間、私の唇の上に饗也の唇が重なった。それが私にとって、かなり遅めのファーストキスだった。そして饗也が一歩踏み出してくれた証しだった。そう、彼は一歩踏み出したのだ。なら私ももう一歩踏み出さなきゃ。
「ねぇ、饗也これからどこ行く?」
「おい、、茜君今何て?」
「だ、か、ら饗也って呼んだの恋人同士なんだから当然でしょ。」
私がそう言い終わって振り向くとかなり照れてる饗也の姿がそこにあった。


   
■作者からのメッセージ
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