逆転NOTE19
作者: 10join   2008年12月13日(土) 16時19分57秒公開   ID:QRqdkrt8vd2
 子羊宿さんの許しを得たぼくたちはとりあえず回りを調べてみることにした。
「なるほどくん。この紙に書いてあること見て」
 真宵ちゃんが一枚の紙を指差して言った。
「なになに、デスノートのルール?なんでこんなものが貼ってあるんだ?」
 そんなことデスノート自体に書いてないのか?
「デスノートにルールが書いてあるとは限らないんじゃないんですか?」
 春美ちゃんの言うことにも一理ある。そもそも原作ではルール書いてあったのって主人公についた死神が落としただけだったな。
「ルールは書いてある。だけど世界中の人間全員が英語ができるわけじゃないんだよな」
 子羊宿さんは意味深なことを言った。
「つまり和訳したってことか」
「誰にでもわかるようにな」
 無限君と零樹君が言ってる通りなんだろう。
「私もデスノートの英語わからなかったよ。だって難しかったもん」
 紫音ちゃんが少し落ちこんだように言った。
「まああれは日常的に使う英語じゃないからな」
「むしろ日常的に使ってたらまずいだろうな」
「そうだよね。ありがとう無限君、零樹君」
 無限君と零樹君と紫音ちゃんは本当に仲がいいな。まあとにかくデスノートの英語を辞書片手に訳す手間が省けてよかった。とりあえず読んでみよう。

デスノートのルールを法廷記録に加えた。

デスノートのルール 名前を書いた後に死に方を指定できる。何も書かなければ心臓マヒ。死ぬ前に名前を訂正するか消すかすることで取り消せる。死んでも名前を消せば生き返る。普通は30秒以内に死ぬが、死の時間を決めることができる。ただし1ヶ月を越えて操ることはできない。

「原作じゃ20何日だったような気がするんだけど。大体30秒でもなかったような気がするんだが」
 空悟君が言う通り確か原作では21日くらいだったような気がする。もっと短かったような気がしなくもないけど。
「そんな細かく決めるのめんどくさいからってことでそうなってるらしいです」
 星歌さんにもはっきりしないらしい。というよりそれってどんな理由だよ。大体なんでそれでデスノートのルールまで決まるんだ?
「そんなの創造主の勝手でしょ」
 死神のリリスにもわかってないらしい。まあどうでもいいか。

 人を巻き込んだ死に方をさせることはできない。その場合は心臓マヒとなる。死ぬこと自体が人を巻き込む場合は死ぬこと自体が無効になる。

「人を巻き込む死に方はわかるけど、死ぬこと自体が人を巻き込む状況って一体何?」
 真宵ちゃんが不思議そうに言った。死ぬこと自体が人を巻き込む状況ねえ。
「例えば誰かが崖から落ちるかもしれないって時に引き上げようとしてる人が死ぬような状況とかか?」
 空悟君が少し考えながら言った。大体間違ってはいないと思う。まあルールはこんな具合でいいだろう。他を調べてみるか。

「何でしょうこの燃えカスは。なんか紙みたいですけど」
 茜ちゃんが真っ黒く焼けた物を手にとって言った。触ってみたところ確かに紙のようだ。でもその紙に触れたせいで今まで気付かなかったことがわかった。
「死神?」
 突然死神が現れた。今までいなかったのに出てきたってことはこの燃えカスはデスノートだったってことだろう。それにしてもなんでこんな物が机の上にあるんだ?

「ここでデスノートを1ページ燃やしたバカがいたからだよ」
 鬼頭とか言うガラの悪い刑事がそう答えた。
「1枚ってことは切り離して使ったってことだよな」
「なんで燃やしてしまったんだよ?事故なのか?」
 無限君と零樹君が聞いたことに対して鬼頭さんは首を振った。
「違う。あいつは証拠の隠滅と確実な死を気に入らないやつに与えるためにノートを燃やしたんだ」 
 証拠の隠滅と確実な死のために?そりゃ燃やせば証拠は消えるし、訂正することもできなくなる。でもそう決め付けるのは早いんじゃないのか?
「実際にそいつの友人の写真の名前が消える所をみたんだ。寿命前にな」
 それなら疑いようがないか。それでその人はどうなったんだ?
「記憶を消して他の所に飛ばした。デスノートもちゃんと保管してある。他にも書かれている名前があるかもしれないし、その場合記憶がないで済まされたら困るからな」
 他に書かれた人がいるかもしれないんなら仕方ないか。そうだ。念のために事件と関係ないかどうか聞いてみよう。

「その人と被害者の犯人とのつながりってありますか?」
「そう言えば友人の敵だとか言ってたような気がするな。それで罪を憎むようになったって聞いて信じてたけど」
 子羊宿さんの言うことが何か引っかかった。とりあえず証拠品を見たらその理由に思い当たった。
「その人ってデスノートに書いてある友人を失ったとても暗い刑事と同一人物ですか?」
「だと思うよ。白夜もあんなやつのことかまう必要ないのにさ」
 子羊宿さんはあきれたような口調で言った。
「その人の名前わかりますか?」
「倉杉ってやつだ。本当に名前どおり暗かったぜ」 
 鬼頭さんが言ったのは意外な名前だった。
「倉杉?それって吉良警部と一緒に現場にいるあの刑事?」
「そうです。なんか気まずいのでできれば会いたくなかったんですけどね」
 なるほど。星歌さんがなんだかぎこちなかったのはそのせいか。吉良警部も知ってたからあんな態度を取ったってわけか。倉杉さんかなりあやしいな。でも確証はない。一体これからどうすればいいんだろう。

「とにかく留置所に行ってみようよ」
「そうですね。白夜さんに聞けば何かわかるかもしれません」
 真宵ちゃんと春美ちゃんが言う通り白夜さんならなにかわかるかもな。
「私は倉杉さんと今回の事件につながりがないか調べてみます」
 茜ちゃんはそう言って先に部屋を出て行った。他の車で送ってもらうらしい。
「オレたちも行くか」
「「全力で飛ばしてな」」
 その言葉通りいつにもまして超スピードで留置所に向かった。 

       つづく
  

 
 


■作者からのメッセージ
遅れてすみません。次が終われば最後の法廷です。

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