逆転NOTE17 |
作者:
10join
2008年10月22日(水) 11時42分25秒公開
ID:QRqdkrt8vd2
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3月9日 午後1時30分 留置所 なんとか無事明日につなげることができたみたいだな。それにしても青影が見た警察関係者って一体誰なんだろう? 「なんとなく予想はつくけどね。もしぼくが考えてる通りならかなりめんどくさいことになる」 白夜さんはかなり意味深なことを言った。一体何のことを言ってるんだろう? 「今はまだ言えません。確定してから話したいと思います」 星歌さんも今は話す気はないようだ。あまり話したくないことのようだ。 「まあムリに聞きださなくてもいいだろ」 「そんなことより青影に話を聞こうぜ」 「「あのままじゃよくわからないからな」」 無限君と零樹君は相変わらず息ピッタリで言い切った。 「確かによくわからないよね。もっと詳しい話を聞きに行きましょうよ」 紫音ちゃんも無限君と零樹君の言葉に同意した。 「確かに迷っててもしかたないよね。行こうよなるほどくん」 「そうですね。行きましょう」 こうしてぼくたちはまたクリムゾンジャック病院に光の速さで直行した。 同日 午後1時46分 クリムゾンジャック病院 平衡感覚がかなりいかれている状態でクリムゾンジャック病院にたどりついた。扉を開けてみるといつものようにクリムゾンジャック先生と緋ノ子ちゃんがくつろいでいた。患者の方は大丈夫なのか? 「原因を取り除いた後は安静にしてるだけでいいからな。それで一体なにしに来たんだ?」 「大体何しに来たのかはわかるけどね」 クリムゾンジャック先生と緋ノ子ちゃんは何もかもお見通しと言う顔で言った。 「もちろんあ、青影さんにくわしい話を聞きに来たんです」 茜ちゃんはかなり緊張しているように見えた。本当に大丈夫なのか?別にムリしてここにいることはないと思う。 「大丈夫です。ここで逃げてたら前に進めませんから」 茜ちゃんは少し震えながら言った。その目には確かな覚悟が宿ってるように見えた。これなら多分大丈夫だろう。 「わかった。それじゃ案内するよ」 クリムゾンジャック先生の後について僕たちは青影の病室へと向かった。 同日 午後1時52分 青影の病室 「また君たちか。まあ来るのは予想できていたがね」 入ってくるぼくたちを見て青影はそう言った。今度はカーテンが開いていた。もう顔を隠す必要がないと思ったからだろう。それにしても法廷の時とずいぶん口調が違ってないか? 「あの時は少しでも礼儀正しくしておいた方がいいと思ったからだ。少しでも心証がよくなるようにしておかないと証言の信憑性が薄れるからな」 確かに元死刑囚ってだけで周りの人から信用されない恐れがあるからな。それを考えるといい判断なのかもしれない。 「それにしてもこんな所で君と再会するとはな。あの時は怖がらせて本当にすまなかった」 「い、いえ。こちらこそ余計なことをしてしまってすいませんでした」 茜ちゃんはいきなり話しかけられて恐縮しているようだ。 「ムリもない。普通誰かが襲われてるのを見たら助けようとするだろう。それをこれ幸いと見た犯人が勝手に事件に仕立てあげただけだ」 もしかしてこの人あの事件の裁判を見てたのか? 「自分の事件を担当してた刑事が死んだなんて聞いたらそりゃ気になるさ。さすがに誰も私の正体に気付かないとは思ってなかったがね。おかげで傍聴できたんだから感謝するべきだな」 大丈夫なのか裁判所の職員。いや、確かにそれは気になるけど事件のことを聞かないとな。 「あなたが見た殺人犯は本当にあなたが捕まってた時は巡査だったんですか?」 よし。セリフが回ってきた。これでセリフゼロなんてことはない。 「それは間違いない。あの暗いオーラを一度感じたら忘れることはない。さすがに今の階級はわかりようがないがな」 そりゃわかる方がすごいよ。まあSL9号事件から5年経ってるんだから今は刑事にはなってるんじゃないか? 「その人はあんたのことを覚えてるように見えた?」 今度は空悟君が青影に尋ねた。 「私の顔を見て驚いてたからおそらく覚えているんだろう。そいつはとどめをささずにそのまま歩き去って行ったよ。多分元死刑囚に法廷に立つ勇気なんてないだろうし、多分誰も信じないと思ったんだろう。現に私も誰が被告人か聞くまでは出てくる勇気はなかったよ」 確かに被告人が自分を助けた白夜さんだとわからなかったら出なかったかもな。白夜さんが自分の命を救ってくれたと知ったからこそあの時拾った命を捨てる覚悟で来たんだろう。 「それにしても犯人はうかつ過ぎないか?そりゃあの時は確かにあんたが出てこれるわけがないと思ったかもしれない」 「それでも白夜が被告人なら来るかもしれないと普通思うだろ。死刑になったはずの人間が生きてる理由なんてすぐわかる」 「「それなのになんで真犯人は重要な目撃証人を見逃したんだ?」」 確かにそれは気になるな。青影の名前と顔を知ってればそれをノートに書けばすぐに殺せるはずだ。それなのにわざわざ生かす理由はなんなんだ? 「考えられる理由としては実行犯がノートで確実にあいつを殺害できるように依頼することだけど、それでも青影が今生きてることの説明にはならない」 空悟君の言う通りだ。実行犯が依頼してたのなら、当然目撃者の存在をノートを持っているやつに話すだろう。もしノートの所有者が青影の顔を知らないとしても写真とかを見せればそれで済む話だ。 「もしかしたらその時ノートが手元になかったとか?」 真宵ちゃんが意見を出した。 「その時なくても後で書けばいい話だ」 「まさか隠し場所を忘れるわけ…」 そこまで言った無限君と零樹君はハッとした顔になった。どうやら何かに気付いたようだ。 「そうか。この方法なら自らの手であいつを殺せる」 「そして目撃者を殺さなかったことも説明できる」 それを聞いた空悟君と星歌さんも無限君と零樹君が考えてることに思い至ったらしい。 「そういうことか。話を聞かせてくれてありがとう。おかげでいろいろわかったよ。また聞きたいことがあったら来るよ」 空悟君がそう言った後に他のみんなが出て行くのを見てあわてて僕たちも後を追った。 「ちょっと待ってよ。一体何がわかったの?」 「これからどこに行くんですか?」 真宵ちゃんと春美ちゃんの言葉に紫音ちゃんはにこりと笑った。 「着けばわかりますよ」 それからぼくたちは目的地もわからないまま超スピードで道路を爆走した。 つづく |
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