逆転バッテリー
作者: SEELE   2008年10月07日(火) 19時53分52秒公開   ID:8VRrF0QMWss
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 異 議 あ り !

マヨイ「いいでしょう裁判長。一つ提案があります。」
サイバンチョ「な、なんですかな?」
マヨイ「もう一度チャンスをいただきます。もしこれを失敗すれば…弁護側は被告人の有罪を認めます。
…どうでしょうか?」

 異 議 あ り !

ツキヒメ「これ以上審理の必要はない!判決を要求する!」

 異 議 あ り !

マヨイ「証拠品を最後の一つまで調べるのが我々の義務です。そうでしょう?月姫検事。」
ツキヒメ「くっ…」

カンッ!

サイバンチョ「検察側の異議を却下します。綾里弁護士。お願いします。」

一体どんな証拠品が提出されるのだろうか…
この証拠品で、全てが決まる!

証言 〜最後の証拠品〜

マヨイ「証拠品は全部で3つあります。これらは事件の追加捜査で発見されたものよ。」
マヨイ「一つ目の証拠品はリストバンドね。被害者のロッカーから発見されたわ。」
マヨイ「二つ目…これは新垣勇輝のもう一つの証言書ね。私が以前、彼に貰ったものよ。」
マヨイ「次が最後の証拠品よ。これは…被害者の日記ね。これは被害者の個室で発見されたわ。」
マヨイ「証拠品の提出は以上で終了よ。」

サイバンチョ「ふむう…追加捜査で証拠品が発見された…。」
マヨイ「はい。現場主任の宝月刑事にお願いして、ちょっとね。」
サイバンチョ「これは非常に重要な証拠品です。綾里弁護士、提出を求めます。」
マヨイ「…わかりました。」

証拠品((リストバンド))のデータを法廷記録にファイルした。

リストバンド
被害者のロッカーで発見。『ARAGAKI』と刺繍してあり、被害者の血痕が付着。

証拠品((新垣勇輝の証言書2))のデータを法廷記録にファイルした。

新垣勇輝の証言書2
以前真宵が被告人よりもらった証言書。
内容は証言書1と異なるらしいが、内容は不明。

証拠品((被害者の日記))のデータを法廷記録にファイルした

被害者の日記
被害者、浜谷守の部屋で発見。練習日誌のようだが、詳細は不明。後ろの3ページが切り取られている。

サイバンチョ「では弁護人この証言に尋問を命じます。ただし…。」
オドロキ「…?」
サイバンチョ「私はこの審理にこれ以上の時間は必要ないと考えます。一度だけチャンスを与えましょう。」
オドロキ「い、一度だけ…」
ツキヒメ「ふっ…。これ以上ハッタリで誤魔化すのは通用しない…そういうことだ。」
マヨイ「オドロキくん、もう一度よく考えて。弁護士の仕事は真実を見つけ出すこと…罪をごまかすことじゃないわ。」
オドロキ「(どういうことだ…?『罪を誤魔化す』…一体、誰のことだ…?)」

サイバンチョ「では弁護人、今法廷最後の尋問をお願いします!」

尋問 〜最後の証拠品〜

マヨイ「二つ目…これは新垣勇輝のもう一つの証言書ね。私が以前、彼に貰ったものよ。」

 待 っ た !

オドロキ「その証言書、内容は…?」
マヨイ「ふふっ…オドロキくん、正解よ。この証言書の内容こそ、この事件を解決する最後の鍵よ。」
ツキヒメ「御託はいいからさっさと内容を言いたまえ、貴様のいうカンペキな証拠品のな!」
マヨイ「いいでしょう月姫検事。…これが証言書の内容です。」

証拠品((新垣勇輝の証言書2))のデータを書き換えた

新垣勇輝の証言書2
一般的には左利きだが、実は両利き。
知っているのは被害者のみ。

サイバンチョ「こ、これは…。」
マヨイ「お分かり頂けたでしょうか?…この証言書のムジュンに。」
サイバンチョ「ムジュンもなにも…さっき提出された証言書とゼンゼン内容が違うではないですか!」
オドロキ「ということはもしかして…。」
ツキヒメ「この証言書は偽物ということになるではないかッ!」
マヨイ「その通り。この証言書は被告人が偽造したものなんです。」
オドロキ「な、なんだってぇぇぇぇぇっ!」

カンッ!カンッ!カンッ!

サイバンチョ「静粛にぃぃぃっ!綾里弁護士、説明をお願いします!」
マヨイ「おそらく、この証言書を偽造したのは…有罪になるためだったのでしょう。自分が、ね。」
ツキヒメ「フン…自分の罪を認めた、ということか。」
マヨイ「話は最後まで聞いてください。月姫検事。」
ツキヒメ「グッ…!」
オドロキ「(やれやれ…怒らせると怖いな、真宵さん。)」
マヨイ「そこで問題になるのが…『何故そんなことをしたか』その一点です。」
サイバンチョ「そ、それはそうですね…」
マヨイ「さ、ここからはあなたの仕事よ、オドロキくん。教えて、何故彼はそんなことを…。」
オドロキ「えっ!お、オレですか…?」
ミヌキ「叩きつけちゃいましょう。証拠品を!」

オドロキ「(新垣さんが証拠品を偽造した理由…)」

((『奇跡のバッテリー』のブロマイド))
半神ジャガースの名バッテリー「奇跡のバッテリー」のブロマイド。エース左腕新垣とキャッチャー浜谷の写真がコピーされている

 く ら え !

ツキヒメ「『奇跡のバッテリー』…それがどうした!」
オドロキ「自分なりに調べてみたんですが…新垣さん、最近調子が良くないそうですね。」
アラガキ「…!さすがですね、オドロキさん。そこまで察していたとは…。」
ミヌキ「あ!そういえばこの間…失点しましたね。一点。新聞にも大きく取り上げられて…。」
アラガキ「浜谷は頑張ってくれたのに、僕とくれば、迷惑をかけてばかり…。」
オドロキ「それで…偽造してまで有罪になろうとしたんですか?」
アラガキ「自殺も考えたんですが…そんな度胸もなく…考えたんです、冤罪を被って球界から姿を消そう、と…」
マヨイ「けど、あなたのしたことは重罪よ。その証言書が偽物だということがもっと前に発覚していたら…オドロキくんは弁護士バッジを剥奪されていたでしょうね…。」
アラガキ「はい、王泥喜さんには申し訳ないと思ってます。自分の身勝手でこんな…。」
サイバンチョ「なんということでしょう…被告人が冤罪を被るために証拠品を捏造…前代未聞です!」
マヨイ「けど、あなたは心の片隅では助けて欲しかったんでしょう?だからこの証言書を私に渡した…。」
アラガキ「見抜かれてましたか…さすが皆さん、プロですね…。」

そう言ったあと、新垣さんの目から涙がこぼれ落ちた。

マヨイ「…さて、今度はあなたの番ですよ、岡崎さん。」
タツサブ「…!」
マヨイ「この一通目の証言書…確かに嘘の情報が書き込まれていました…ただ一つを除いて、ね。」
ツキヒメ「ど、どういうことだ!」
マヨイ「この最後の文章…『知っているのは被害者と監督のみ…』この文章だけは本当なんですよ?…あなたにもわかっている筈です。岡崎さん。」
ツキヒメ「ま、まさか…」
マヨイ「その通り!この文章が本当なら、犯人はあなたしかいないんですよ!岡崎さん!」

タツサブ「クッ…!オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォッ……」

サイバンチョ「…月姫検事。岡崎さんは?」
ツキヒメ「…緊急逮捕した。浜谷守殺害容疑でな。」
サイバンチョ「よろしい。…被告人。」
アラガキ「はい。」
サイバンチョ「あなたは殺人容疑については無実でした。しかし、証拠品の偽造は罪にあたります。被告人はこの後、別の容疑で審理を受けることでしょう。」
アラガキ「…承知しています。僕自身の罪は償います。何年かけても…必ず。」
サイバンチョ「わかりました。…お手柄でしたね、綾里弁護士。」
マヨイ「いいえ。私のすべきことをしたまでです。」
オドロキ「(それにしても…後半ほとんど役立たずだったな…)」
ミヌキ「また今度頑張りましょう、オドロキさん!」
オドロキ「(いつのコトだ?今度って…)」
サイバンチョ「では、罪状を殺人に絞って、今、被告人に判決を言い渡します。」

 無  罪

サイバンチョ「それでは本日、これにて閉廷!」

カンッ!

8月29日 午後1時58分 被告人第2控え室

マヨイ「おめでとう。オドロキくん。」
オドロキ「あ、真宵さん!今日はどうもありがとうございました!」
マヨイ「ふふっ…本当に危なっかしい弁護ね。昔のなるほどくんを見てるみたいだったわ。」
オドロキ「(成歩堂さんもこんな弁護だったんだな…)」
ミヌキ「けど…かわいそうですよね…新垣さん。『奇跡のバッテリー』も壊れちゃって…。」
オドロキ「確かに…そのせいで新垣さんはあんなことをしちゃったワケだしね。」
マヨイ「いいえ。それは違うわオドロキくん。」
オドロキ「え?どういうことですか?」
マヨイ「聞く相手を間違ってるわ。オドロキくん。『法廷では証拠が全て』…知らなかったかしら?」
オドロキ「(答えは法廷記録の中にあるってコトか…?)」
マヨイ「じゃあオドロキくん、あの子に証拠を見せてあげて。」

マヨイ「『奇跡のバッテリー』はまだ壊れていない…その証拠よ。」

リストバンド
被害者のロッカーで発見。『ARAGAKI』と刺繍してあり、被害者の血痕が付着。

 く ら え !

オドロキ「みぬきちゃん。『奇跡のバッテリー』はまだ壊れてないよ。…互いのことをこんなにも思いあっているんだからね。」
ミヌキ「これは…リストバンドですか?」
オドロキ「このリストバンドはね。おそらく事件が発生したとき、浜谷さんが持ってたんだよ。…そして、息絶えるその瞬間まで、手放さなかった筈だよ。彼を守る為に、ね。」
ミヌキ「は、浜谷さん、そこまで考えて…。」
オドロキ「だからきっと復活する。何年かけても、必ずね。」
ミヌキ「…そうですよね、奇跡のバッテリーは必ず復活しますよね!みぬき、何年でも待ちます!」

マヨイ「オドロキくん、証拠品は無限の可能性を秘めているわ。あとは、それをどうやって使うか…使う人間によって、変わってくるものよ。」
オドロキ「はい、オレ、頑張ります!」
マヨイ「ふふっ…じゃあ、また会いましょう、オドロキくん。」

ミヌキ「じゃあ私たちも帰りましょう、オドロキさん、パパがみそラーメンおごってくれますよ!」
オドロキ「(かわいそうな成歩堂さん…)」
ミヌキ「なにグズグズしてるんですか、オドロキさん、行きますよ!」
オドロキ「…はいはい。」

こうして一連の事件は幕を閉じた。やがて、球界で『奇跡のバッテリー』は伝説として語り継がれることとなった。変わったコトと言えば、『逆転バッテリー』に名前が変わったコトくらいかな…

8月29日 午後4時41分 検事局 上級検事執務室

ツキヒメ「くそっ!アヤサト マヨイ…二度に渡って、俺の経歴に泥を塗りやがって…!」

孤独で狭い執務室の中で、月姫検事の声だけが響いていた。

ツキヒメ「見ていてくれ、俺は次こそあの女を倒す、お前の為に…」

震えた手で、月姫は一つの写真立てを手に取った。ひとりの笑顔の女性の写真があった。

ツキヒメ「見ていてくれアリス、お前の仇はこの俺が取ってやる…今度こそ、あの女を倒して、な。」

第一話 逆転バッテリー 終わり

あとがき

今まで逆転バッテリーを観覧していただき、ありがとうございました。途中、雑な内容になってしまい、申し訳ございません。もしよければ、次回作もよろしくお願いします。

次回作は、「弁護士・綾里真宵」(仮)「逆転バースデイ」(仮)のどちらかを予定しています。
■作者からのメッセージ


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