時空を超えた逆転 8 成歩堂・王泥喜編-黒幕との対決- | |
作者:
太郎
2010年05月05日(水) 17時09分08秒公開
ID:NSaAlxEcU.A
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カンッ! 「弁護人、セツメイをお願いしますぞっ!」 裁判長が木槌を鳴らし、解答を求めた。 「綾里キミ子。えっと…その…霊能力者です。」 「霊媒師だよっ!オドロキ君っ!」 「ゼンゼンだめだな。オドロキ君。そんなんじゃ。情けないよ。」 「ご、ごめんなさいっ…。(霊媒師も霊能力者も同じだろっ?)その…綾里キミ子サンは…霊媒師です。」 オドロキは真宵と成歩堂に怒られ、言い直した。 「アヤサトキミコ…。はて、どこかで聞いたような…?」 「…つい数ヵ月前にも綾里キミ子がカラんだ事件があったわ。」 裁判長のキオクを冥が静かに蘇らせた。 「あぁぁっ!思い出しましたぞっ!ゴドー検事の事件ですなっ!」 「(後藤賢二…?誰だそれ?)まぁ、そうゆーコトです。トニカク、綾里キミ子さんと証人はコンタクトをとっていたようです。紙に書かれている内容をご覧ください!」 オドロキの指示で、裁判長は急いで資料を読んだ。証言台の牙琉はイゼン、下をむき、黙っている。 「これは……“へいしんじゅつ”、ですか…?」 「へ、閉心術ですって…?!」 冥はスグサマ反応した。 「そうです。綾里キミ子サンは、証人に閉心術をデンジュした可能性があるんですっ!」 「どうやら…綾里キミ子は閉心術の師範、でもあったそうですよ。」 オドロキに成歩堂が静かに付け足した。 (傍聴席) 「…。どーゆーコトなんだ?」 「分からないのかな?成歩堂先生。アニキは最近、おデコキ君のジンモンを受けた。彼の能力については知っている。」 「…。あっ!!だから、身に付けたのか…!その、ソレをっ…!」 御剣はハッとした。 「そう考えられるよね。センパイ。アニキは色々な可能性を想定して計算していたんだ。法廷に引きずり出される可能性もね。」 「証拠がないから、“動揺”さえしなければ、オドロキ君の尋問を切り抜けられる…!」 「まさしく。」 傍聴席の成歩堂は、この事実が分かったシュンカン、ゾッとしたという。 「…お母様は…霊力の欠如を“へいしんじゅつ”でまかなってました…。」 春美は、蚊の泣くような声で言った。 「は、春美ちゃん…!(ツラそうだぞ…!)」 「つまり、突破口を見つけたというワケか。相当ムリヤリだが。」 「そうゆうコトだね。さて…アニキはどうでるかな?」 「つまり弁護側は…証人と綾里キミ子のつながりが、証拠だといいたいのね?閉心術を伝授したというのが…」 「その通りです。」 オドロキはゆっくりと首を縦にふった。 「この事実は証言台に引きずられるコトを予想した上での行為だ。事件に関わっていてかつ先を読んだ慎重な人物が起こすね。」 「………。」 成歩堂は静かに言うと、牙琉はムゴンでメガネを押さえた。 「あの…スミマセン。私、マッタク理解ができないのですが…」 バシッ! 「ひゃっ!」 話しについていけてない裁判長に冥はムゴンでムチをヨウシャなくとばした。 「…裁判長。アナタは昨日今日とこのオドロキ君の嘘を見抜く能力を目の当たりにしてると思います。この証人も、それを知っていたんです。オドロキ君の前で動揺したら負け。それをリカイしていたから証人は接触したんですよ。…綾里キミ子サンとね。」 「ふ、ふむう…。綾里キミ子に接触した理由はこの弁護人のワザから逃れるため、というコトですか…。理解できた気がします。」 「(“ワザ”ってなんだよ…。)」 成歩堂のハナシを聞いた裁判長は目を固くツムり少しチンモクした後にゆっくりとツブやいた。しかし、牙琉はヤッパリ無表情をくずさなかった。 「つまりですっ!この決定的な証拠がある以上、証人の事件へのカンヨは決定的ですっ!」オドロキはマッスグとかつての師匠に指先を向けた。 「なんというコトでしょう…。証人っ!ナットクのいく説明をしてもらいますぞ!」 「…。」 慌てふためく裁判長に対し冥は静かに霧人を見つめていた。 「やったね、オドロキ君っ!あの人、黙っちゃったよ!」 「う、うん。だね。(牙琉先生の事だ…。どう出るかヤッパリ怖ぇよな…。)」 「異議あり!」 「!!(ヤッパリ…)」 遂に牙琉は声をあげた。 「成歩堂。あなたがオドロキ君に入れ知恵したのですね…。そのみすぼらしい戦術を。」 「…!」 「悪いが…牙琉。オドロキ君はもうキミの弟子ではない。そのような言い方はやめてほしいね。」 成歩堂はマガオで言い返した。 「フッ。自分の弟子、と言わんばかりの顔ですね…。まぁ、それはいいでしょう。私が今言いたいのはそのコンキョのないヒドい言いがかりはいかがなものか…というコトですよ。」 「どーしてですかな?私にはスジの通ったスイリだと思えましたが…。」 裁判長はスグサマ牙琉に聞き返した。 「“スジ”…?そんなモノ、弁護人の主張には通ってませんよ。ない証拠でムリヤリ自白させようとしてるダケです。」 「…!」 そのシュンカン、成歩堂は少しだけケワシイ顔をした。 「…確かにハナシとしては面白いかもしれない。でも、私が閉心術をシュウトクした証拠も、先程の刑事に殺人を指示した証拠はマッタクないですよ。」 「でもっ…」 バシッ! 『ぎゃっ!』 ハンロンしようとしたオドロキに対してシュンジに冥のムチがとんだ。 「証人。弁護人の質問に答えなくていいわ。」 「ちょっ、狩魔検事…」 バシッ! 『いてっ!(ナゼ…オレだけなんだ?!)』 「大丈夫?オドロキ君。(ボクが狙われないなんてなんだかヘンな感じだ…)」 「うぅ…。あんま…大丈夫じゃないです…。」 オドロキは冥にやられたおデコをさすりながら答えた。 「最後まで聞きなさいっ!王泥喜法介っ!」 「…!」 「こんなグダグダな質疑応答じゃぁラチがあかないわ。証人、この弁護士に分かるようにもっとクワシク証言してやりなさい!あなたの証言で弁護人を黙らせるのよ!」 冥のコトバを牙琉は静かに聞き入れ、微かに笑みをこぼしながらうなずいた。 「分かりました。」 「じゃぁ、アナタと綾里キミ子の関係と、弁護側が提示してきた証拠品について…証言をしなさい。カンペキに!」 「仰せのままに…。狩魔検事殿。」 冥は証言台に片手を差し出しながら指示すると、牙琉は口を開いた。 〜証言開始〜 「私と綾里キミ子さんは作業時に良く顔を会わせるのです。」 「彼女と親しくなったキッカケはお互い共通の知り合いによって独房生活を送る事になったから、とでも言っておきましょうか。」 「彼女の使う閉心術は話しを聞いている内に興味がわきました。 だから教えてもらいました。ただそれダケのコトです。」 「ふむう…。シンプルですな。」 「当然です。ありのままですから。」 「…分かりました。それでは、弁護人。尋問をお願いします。」 「ハイ!」 オドロキは力強く返事をした。 「…オドロキ君。分かっているね。こっちの方が不利なんだ。証拠がないからね。」 「…分かってます。成歩堂さん。」 「だけど、牙琉センセイがウソをついている事に変わりはない。それを忘れるなよ。1つ1つ崩していこう。」 「ハイっ!成歩堂さんっ!(もうココしか突破口はないっ…!絶対に負けられないっ…!)」 〜尋問開始〜 「私と綾里キミ子さんは作業時に良く顔を会わせるのです。」 「待ったっ!」 「何でしょう?オドロキ君…。」 「あなたが綾里キミ子さんと接触する時は作業時だけですか?」 「主に作業の時です。しかし、食事の時間などの自由な時間にも顔を合わせれば良くお話しをしていますよ。」 「どんなハナシを良くされてるんですか…?」 バシッ! 「ぎゃっ!(ナゼだっ?!)」 「どんなハナシだっていいじゃない。きっと、普通の世間話しに決まってるわっ!」 「マサシク。そんなトコですよ、オドロキ君。」 「うぅ…。(イタイ…)」 「オドロキ君。あの証人がそんなカンタンに“犯罪の計画をたててましたー”なんて言うと思う?」 「…そーですよね。(確かにそうだ…)分かりました。次、お願いします。」 「彼女と親しくなったキッカケはお互い共通の知り合いによって独房生活を送る事になったから、とでも言っておきましょうか。」 「待った!」 「…。」 「その“共通の知り合い”と言うのは…」 「モチロン、キミの新しいセンセイの事ですよ。」 「ツマリ、成歩堂龍一のコトね。」 「彼についてのハナシなら3日は持ちますね。」 「…。(本人を前にして言わないで欲しい…)」 「良かったジャン、なるほど君っ!3日も持つってさ!」 「成歩堂さん…。(下をむいちまったぞ…。)」 「成歩堂龍一をワダイにするなら私でも3日は持つわね。よってフカカイな所はないっ!」 「…。(不可解だと思ってくれよ。)」 「証人。次、お願いするわ。」 「彼女の使う閉心術は話しを聞いている内に興味がわきました。」 「待った!」 「何かな?」 「その、閉心術のナニに興味を持ったんですか?」 「モチロン、“ココロを閉ざす”という未知の行為に惹かれましたね。オモシロそうだと思いませんか?…独房はアナタ達が想像するよりヒマなんですよ。」 「(ニッコリされながら言われた…)」 「しかし、スゴイですな。その、私もその、“へいしんじゅつ”とやらをシュウトクできれば、法廷で弁護人や検察官の意見に左右されなく判決を下せますな!」 「(それは…司法制度をコンポンからムシした不適切なハツゲンだな。)」 「…トニカク!まとめるとそこの弁護人がモンダイにしているのは、証人がこの術をシュトクしたかどうか…。どーかしら?証人。このマヤカシは身に付いたの?」 「閉心術はまだハジメタばかりなので、うまく行くハズありません。」 「(うーん…特にムジュンはないよな…)」 「オドロキ君さ、証拠品ちゃんと見た?」 「えっ、み、見た…と思うんですケド。」 「取りあえず、ぼくなら今のハツゲンを新たに証言に加えてもらうね。」 「え…?(成歩堂さん…何か見つけたのかな?)」 「“え?”じゃないだろ。キミの目はフシアナかい?よくその証拠品を見るんだ。」 「は、ハイ。…………………………………っ!(こ、コレは…!)」 「どうたい?オドロキ君。ぼくの言いたいコト、分かった?」 「ハイっ!ダイジョーブです!(こんな大きなムジュンが隠れてたなんて…!)」 「…お取り込み中にスミマセンが…次、いいですか?王泥喜君。」 「いえ、今の発言、弁護側はヒジョーに重要だと考えます!証言に加えてください!」 「ふむう。分かりました。証人、お願いします。」 「了解しました。」 「…。」 「閉心術はまだハジメタばかりなので、うまく行くハズありません。」 「異議あり!」 オドロキはマッスグ、人差し指を証言台にむけた。 「今の証人のハツゲンは……この証拠品とムジュンしでますっっ!」 「…!」 「ど、どーゆーコトですかな?私にはムジュンなど…」 バシッ! 「うほっ?!」 「弁護人のデッチ上げは私が崩すから、今は黙っていなさいっ!裁判長っ!」 「(デッチ上げ…。)」 「ひぃっ。す、スミマセン…。」 冥の鋭いガンリキに裁判長は即、怯んだ。 「(こぇぇっ!)」 バシッ! 『ぎゃぁぁぁっ!(もう今日…何回目だよ?!)』 ドサッ… オドロキは痛みに耐えきれず、倒れた。 「お、オドロキ君!おデコが真っ赤だよ!大丈夫?!」 「…おデコから、ユゲも出てるね。(カンゼンに狩魔検事の標的はオドロキ君だな…。助かった…。)」 ムチに打たれ、倒れたオドロキを成歩堂と真宵がスグサマ起き上がらせた。 「ぼーっとしてないで、サッサとムジュンを言うっ!」 「あ、は、ハイっ!スミマセンっ!(えっと…。そうだッ!)この証拠品をヨク見てください。」 オドロキがそう言うと、みんなイッセーに証拠品を眺めた。 「この証拠品のイチバン下にに目をむけてください。小さくですが日付が書いてあります。」 「……。あッ!日付が…昨年の10月ですっ!」 裁判長がそう叫ぶと、傍聴席からザワっと音がたった。 『10月ですって?!』 『アノ人、確かに最近だって証言したぞっ?!』 『もうどーなるか分からないわね。このサイバン。』 『ママー!あの赤いおじちゃん、頭にナニか刺さってるよ。』 「(ボウヤ…。コレはオレの前髪だぜ?)」 「…。」 「…刑務所内で手紙のヤリトリをする時、刑務官が手紙をチェックし、日付印を押すんだけな?牙琉…。」 法廷内のザワメキとは対照的に牙琉は軽く下をむき、またまたメガネを押さえた。 「証人!コレはどーゆーコトですかっ?アナタ…ウソをついたのですか?!」 「(さァ…どうでるんだ?)」 「…フッ。」 牙琉はハナで笑うと、アキれた表情でクビを左右にふった。 「私はウソなんてついてませんよ。この手紙を受け取ったのは確かに昨年ですが、シュウトクに走ったのはゴク最近です。」 「そんな言い訳っ…!」 「異議あり!」 オドロキのハンロンに牙琉はシュンジに反応し異議を唱えた。 「マッタク…。キミには“発言の前にまず証拠品”と叩き込んだハズでしたが…。カンゼンに今のキミの先生のスタイルを継承しちゃってます。ナサケナイ。私が結局のトコロ、閉心術をシュウトクした証拠はないのでしょう?」 ⇒To Be Continued... |
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