逆転検事小説集 逆転の幕開け
作者: 東条   2010年02月22日(月) 17時15分11秒公開   ID:Uk/VlOgR0.A
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 そんな時に舞台に裏返しの衣装で出てくる役者などここまで有名な劇団にいるわけがない
 つまり、この写真に移っているのは衣装を初めて着た人間だと言う可能性が高いのだ!」

これで、彼の疑いは少しそれた。
後は真実を見つけるだけだ。
私は海津に1時間後にここに戻ると約束した。
一時間以内に真相を見つけ出さなければならない。
だが.....

「糸鋸刑事、至急実験してもらいたいことがある」

糸鋸刑事に実験の事は任せ、最後の捜査に向かった。


同日 某時刻 第1劇場前

「御剣さん、仕事は順調ですか」

根田さんだった。
彼には劇団の外側から見た情報を聞かせてもらう必要がある。
私は彼に話を聞く事にした。

「劇団の情報ね、海外公演の事は知っていると思う。
 荷物も今日特別なルートで送ることになったそうだ。


「特別なルート!?」

「荷物検査をされると海外の公演前に劇の情報がばれるかもしれない、そのため特別なルートを使って荷物を海外に運ぼうとしたそうだ。
 まぁ、主演の女優が死んだ今となっては残念ながら海外公演は中止になるだろうがね」

これは重要な情報だ。
すると糸鋸刑事が走ってきた。

「御剣検事!実験は終わったっス
 御剣検事の言う通りっス!自分にはさっぱりわかんねーっス!」

これで犯人を追い詰める材料が揃った。
糸鋸刑事に至急皆を控え室に集めるよう要求した。
後は真実を明らかにするだけだ。




つづく

逆転の幕開け

人物ファイル

糸鋸 圭介(32)殺人課の刑事、薄給。

根田 幹吉(43)フリーライター、明らかに怪しい。

星菜 金子(22)この事件の被害者、劇団員でヒロイン役。

戸間 途一(32)劇団員で悪役を担当、事件の容疑者である。

海津 健(26)劇団員で主役を担当、死体の第1発見者。

貴龍 洋平(24)劇団員で脇役担当の新人、才能はあるが普段は無口。

大沢木 ナツミ(24)フリーカメラマン、一応知り合い。




証拠品ファイル

検事バッジ 私の身分を証明するバッジ

劇団「タリアイン」パンフレット
      劇団の事について詳しく書いてある
      

ナイフ   この事件の凶器。
      舞台裏に置いてあった物。

決定的な写真
      悪役、怪人タバスコの姿が写っている。
      黒いマントを身にまとい包帯を顔に巻き帽子を被っている。
      撮影時刻は5時13分。
     
根田の証言書
      海外公演のため荷物は特別なルートを使って運ぼうとした


逆転の幕開け
          解答編

同日 某時刻 劇場第1控え室

「なんや!なんや!一体何が始まるんや」

皆動揺してるようだ。
これから事件の真相を暴く事を分かっていないようだ。

「動揺させてしまって申し訳ない
 これから、事件の真相を暴くために皆さんに集まっていただいたと同時に
 この事件の真犯人はこの中にいると言う事をはっきりさせてみせよう!」

さらに混乱を招いてしまったみたいだが。
しかし私は動揺しない、最初に何を言われようと思われようと真相を暴く。

「まず、アリバイからだ
 この事件の関係者は戸間以外全員にアリバイがある。
 犯行時刻は17時0分〜20分の間に人を殺すのは不可能だと言う事は立証されている。
 しかし、本当の犯行時刻は17時20〜30分の間だとしたら!」

「ちょっと待ってください!
 犯行時刻が17時0分から20分の間だって検事さんも納得していたじゃないですか!
 20分に放送で呼び出しても来なかったんだから、その前に死んでいたって事でしょう!」

確かに普通はそうだ。
しかし........。

「もし被害者に放送が聞こえなかったとしたら!
 先ほど、刑事に実験をしてもらった
 放送は舞台裏には全く聞こえなかった!
 舞台裏は設計上放送が聞こえない場所だったのだろう!
 これに気づいたのは現場の捜査をし終えて、貴龍に会った時の言葉で気づいた
 つまり犯行時刻は17時20分〜30分の間なのだ!」

ついにここまで辿り着いた。
後はパズルを組み立てるように手順を踏んでいけば。
すると海津が反論してきた。

「しかし、証拠写真の撮影時刻は17時13分、犯行時刻はやはり、20〜30分の間という説は成り立たない」

そう、これが真犯人を暴くための証拠品だ。

「時刻はコンピューターを使えば撮影時刻を誤魔化す事ぐらい簡単だろう。
 しかし、問題は誰ならそれができたか。
 システムを知らない部外者にはそれは不可能。
 劇団員である海津もあまりコンピューターに関して詳しくはなかった。
 つまりこのコンピューターを良く知っている劇団員..




 
貴龍 洋平!貴様だ!」

さらに騒ぎが大きくなる。

「....酷いですね、御剣さん
 確かに、戸間さんと海津さんはあのコンピューターには詳しくありませんし
 システムは僕が使いやすいように設定してありますが
 それだけで犯人呼ばわりなんて....
 それにあのコンピューターの撮影時刻が嘘だと言う証拠もあるんですよね」

意外と正しい反論だ。
実のことを言うとそれはない。
決定的な証拠は今はまだ用意できない。
どうすれば良いのだ。

「御剣はん!実はうちな決定的瞬間をまた撮ったんや!
 何かの証拠になるかも知れへん
 これ渡しとくで」

まさか、彼女またとんでもない写真を撮ったのか。
すぐに見せてもらった。
防犯カメラの写真と変わらない悪役の姿だった。
残念ながら証拠にはならな.....。

「大沢木さんこの写真は決定的だったようだ。
 撮影時刻に注目してもらおう、17時26分!
 つまり防犯カメラの撮影時刻は完璧な捏造なのだよ!」

「.........ぐはっ!!」

桐生は叫んだ。
今まで余裕そうだった貴龍もさすがにあせって来た。
後一息だ。

「動機も簡単な事だ、被害者の星名は舞台裏にいた
 荷物を渡す前に荷物を興味本位で調べていたのだろう
 だがとんでもないものを見つけてしまった密輸の品だ!
 海外公演のため荷物は特別なルートで送られることになった
 それを利用して君は何かを密輸しようとした!
 違うか!」

さすがに核心をつかれて呆然としている。
しかし、立ち直りも早かった。

「そこまでいうなら!!証拠があるんでしょうね!
 ここまで来てないじゃ済まされないぞ!」

「ない...今はな!」

もう少しで捜査結果が届くはずだ。
すると捜査員が私のところにきた。

「御剣検事!捜査結果ですがどこにもありません!」

そうか、これで武器がそろう。

「今の話だが悪役の衣装の事だ、何処からも発見されなかった
 そしてそれこそが重要なのだ。
 今回の殺人は衝動的な殺人だ、舞台裏にたまたまあったナイフが凶器であることがそれを示している。
 衝動的な殺人であったことから悪役の衣装の隠し場所も事前に決めておくことは不可能だ。
 凝った場所に隠せる時間はない。
 しかし、衣装は見つからなかった、ならば答えはひとつしかない!
 貴龍!貴様は今も衣装を持っているそれだけだ!
 身体検査を受けてもらおう!」

すると、貴龍はかなり焦り始めた。
糸鋸刑事がすかさず取り押さえ、身体検査を行った。

「これはマントと包帯」

マントを調べると黒い液体が付いている。
これについては後で鑑識に回すとしよう。

「さぁいかがだろうか!」

「.....馬鹿なばばあかなばかなかあなかか馬鹿な!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

こうして、真犯人の絶叫により事件は解決した。
しかしまだ謎が残っていた。
黒い液体の正体だ、これはババルインクと鑑識による鑑定でわかった。
おそらく、星名は密輸の品を見つけた直後ナイフで刺され、必死でインクを掴み最後にそれを投げて中身がマントにかかったのだろう。
そして、私はババルインクがここにあったことにも疑問を感じている。
3月頃私は密輸組織に関する事件に巻き込まれた。
しかしボスも逮捕され最近は落ち着き始めていた。
密輸組織が再び活動を始めた、それしか考えられなかった。
この事を貴龍に聞いてもビクビクしているだけで答えてくれなかった。
そして、まさか次の日にあんな事にまた巻き込まれるなんて今はまったく考えもしなかった。


おわり
■作者からのメッセージ
逆転検事を基にして作った小説です。
ゲームのネタバレもありますので注意してください。
全4〜5話完結の予定です。
前編〜後編が問題編なので、解答編は問題編を読み終わってから読んでください。
逆転裁判小説集と同時進行で連載していきます。

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