友情の逆転 | |
作者:
くるくる
2009年11月17日(火) 18時41分42秒公開
ID:GIXjkB6kI5E
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さっきまで泣いていたとは思えないほど綺麗に笑っていた。 ずっと静かな口調だったので、暗い性格なのだと思いこんでしまっていたが…本当は明るいのかもしれない。 …とりあえず、鍵は捜査手帳に記録しておこう。 「ご協力感謝する、必ず真犯人を見つけ出してみせよう」 「…その…絶対に、お願いしますね?」 「うム…」 しかし、この事件は奥が深いようだ…隅々まで捜査しなければならない。 「あ!ミツルギさん、お帰りなさい!どうですか、情報?」 「うム…被害者の関係者に色々と話を…な。どうだ、イトノコギリ刑事?」 「この部屋を捜査した結果ッスけど、もう何の痕跡もなかったッス!」 「…もう少し具体的に頼みたいのだが」 「リョーカイッス!…この部屋のものは隅々まで反応を調べたッスけど、指紋も拭き取られてるみたいッス。 でも、ここが犯行現場なのは間違いないッス!死体の位置を中心に結血痕が飛び散った跡があったッス!」 「…キミにしては良い調べ方をしたものだな」 「き、『キミにしては』ってなんスか!」 これで、凶器が隠されているという可能性が高まったな…このことは捜査手帳に書き込んでおこう。 「…で、ミツルギさん…次は何処を調べるんですか?」 「…ム。そうだな…」 まず、二階に隠したという可能性は低いと考えて良いだろう。 犯行を行った後に二階に行き、凶器を隠したりなどしたら逃げ場が窓しかなくなってしまう。 また階段を下りて急いで外に逃げたりしたら、明らかに怪しまれるだろう。 「…イトノコ刑事。まずは一階の範囲を調べてほしい。証拠品は一階に隠れている可能性が高い」 「わかったッス!」 それを言うなりイトノコ刑事は部屋を駆け出して行った。全く…気が早いな。 「では、捜査を始めるか…」 「がんばりましょうね!」 「うム」 やはり助手はキミなのか。 「…しかし、範囲が一階に絞り込まれていても、部屋の数はかなりある…もう少し範囲を絞り込まなければ…」 「あ、そうそう!ノコちゃんからいいコト聞いたんですよ!」 「”いいコト”…?」 「解剖結果なんですけど、頭を殴りつけた跡に不規則な凸凹があったらしいですよ!」 『不規則な凸凹』…? 「でも凶器はまだ特定できてないみたいですね…」 「…フッ。調べるべき場所がわかったようだ」 「ええー!もうですか!」 「不規則な凸凹に、固くて大きいモノ…それがある場所は限られてくる…!」 「…?…そうですか?」 やれやれ…何もわかっていないミクモくんに、説明してやるとしよう。 「上げた条件に当てはまるモノは、身近にある、とてもシンプルなものだ…そこらにも転がっているだろう」 「…あっ!」 「そう。凶器は、{岩である確立が高い}…!」 …情報が集まってきたようだ。一度、落ちついてロジックを追ってみよう。 今重要な情報は四つだが、その内の二つは省いて考えるとしよう。 一つ目、『隠されている証拠品』 凶器であるものが現場から発見されていないのであれば、 この広い家に隠されている可能性がある。 二つ目、『凶器は岩』 不規則な凸凹、固い、ある程度の大きさ… それを満たせるモノは、この家の中では『岩』という可能性が高い。 この二つの情報…繋がりがある…! 「この家は広い。現場から凶器が見つからない以上、証拠品が何処かに隠されているはずだ。 しかし、凶器は『岩』…そんなものが部屋にあったら明らかにオカシイ… なら、この家の中で、岩があって怪しまれない…それに当てはまる場所は一つしかない!」 「なるほど!確かに、そうですね!」 「凶器が隠してある場所を知るためにも…許可を頂きに行こう」 事件の全体図が見えてきた。後は…ピースをはめるだけだ! つづく +++ 人物ファイル 一条 美雲(17) 二代目ヤタガラス。 修行中で、しばらくは戻ってこないと言っていたが… 糸鋸 圭介(32) 殺人課の刑事。通称イトノコ刑事。 美浦 花梨(16) 今回の事件の被害者。 佐木之 砂奈(17) 依頼人であり、被害者の親友。 交換ノートをしていた。 証拠品ファイル 検事バッジ 私の身分を証明してくれるもの。 死体所見メモ 撲殺により死亡。 死体を中心に血痕が飛び散っている。 交換ノート パスワード式の交換ノート。 被害者と砂奈の指紋が付着。 砂奈の証言書 被害者殺人の動機がある人物はいない。 鍵 砂奈から預かった。何に使うかは不明。 死体の解剖結果 殴りつけられた範囲が広く、 不規則な凸凹がある。 |
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