信じてる |
作者:
ユーと
2009年08月20日(木) 15時24分30秒公開
ID:mxrKH0pol5k
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「嘘・・・、まさか。」 真宵は、新聞を握り締めながら顔を真っ青にしていた。自分にとって、信じたくも無いし信じられないこともあった。新聞には、こんな記事が大見出しになっていた。 『成 歩 堂 龍 一 弁 護 士 バ ッ チ を ね つ 造 に よ り 失 う。』 真宵の目から涙が流れ落ちてきた。自分のホッペタをつねってみた。痛くありませんようにと。 「痛い・・・。」 ますます涙が出てきた。痛みと悲しみで、真宵 は成歩堂の弁護士バッチを奪った人を一番最初に恨んだ。 (どうして?ナルホド君のことを信用しないの。今までのナルホド君を見ていたら、「誰かにはめられた」とか考えてもいいじゃん。皆の バカ・・・!) 真宵は涙をふいて、もう一度新聞を恐れるようにつかみ読んでみた。 『成歩堂龍一は、昨日法廷でねつ造された証拠品を出した。無罪対決に目がくらんだのか、何故ねつ造品を出したのかは、本人も口を閉じたままです。そして、今日 成歩堂龍一の弁護士バッチは取り上げられました。なお、それに対し・・・。』 ここから先は真宵は怖くなり、新聞から顔を離し読むのをやめた。その後、新聞をクシャクシャに丸めたあと、ビリビリに破きごみ箱に捨てた。そして、春美にだけはこのことを知られないように決心した。しかし、笑顔では居られずに泣いた。 その泣き声を聞いたのか、春美がやってきた。 「真宵さま?どうして泣いてるのですか?」 すると、真宵は物も言わずに春美を抱いて、ただ無言のまま泣いていた。 すると春美はごみ箱のなかのビリビリに破かれた新聞に気づいた。 「真宵さま、コレは何で・・・そんな!」 真宵が気づいた時にはもう遅かった。春美はビリビリに破かれた新聞記事をつなぎ合わせていた。そして春美が読んだ部分は大見出しの部分だった。幸い、真宵は大見出しの部分はそんなに細かく切っていなかったから、短時間で読めただろう。 「何で、ナルホド君が?う、嘘ですよねえ。真宵さま。」 真宵は、隠しきれないと思い首を横にふった。そう、春美のためだと思ったからだった・・・。 そのとたん春美は、涙目だったけど、冷静そうに真宵のケータイを指した。 春美は何も言わなかった。おそらく、何か成歩堂にかんすることをしゃべると、ためていた涙が出てしまうからだ。 真宵は春美の言いたいことが解かったように首をタテにふった。そしてケータイを手に取り、振るえる手でゆっくり成歩堂のケータイの番号を押していった。その間春美は、ただ静かに待っていた。 (プルルル・・・。 プルルル・・・。 ) 「どうか、通じて下さい。」 小さな声で真宵は祈りながらつぶやいた。」 「パパ―。ケータイ鳴ってるよ。」 みぬきはソファーの上でうつ伏せになっている成歩堂に心配そうにケータイを持ってった。 成歩堂は、「またか―・・・。」という感じにケータイをみぬきからもらった。 (今度はいったいだれからだ?最初は、矢張。次に糸鋸。そしてその次は狩魔。) 今日一日の間に何度か、電話がきたらしい。怒られたり、本当かどうかきかれたり、いろいろな電話が来たらしい。 「パパー。みぬきあっちに行ってるね。」 父親がつかれていると自分で判断し、父が楽になるかどうかを自分で判断したらしい。 成歩堂自身も、自分の娘が自分のために一生懸命に、自分なりに判断している。―ということわ、わかっているらしい。だからこそ、辛くなる。自分がこんなんでいいのかと。 「(ピッ) はい。成歩・・・。」 そう言いかけた時、今の自分に一番ふれてほしくない人物が電話をかけてきた。 『ナルホド君!よかったー。つながった。』 「・・・・・っ!」 成歩堂は、ケータイの電源を切ろうとした。 真宵を傷つけたくなかったからだ。今まで、一番自分を信じてきてくれた人だからこそ、自分が裏切ったなんて言いたくなかったからだ。 (ゴメン・・・。真宵ちゃん。) 切ろうとしたことは、ずっと成歩堂がだまっていたことだから、真宵にもすぐにわかった。真宵も感じていた。成歩堂の気持ちに、でも容赦はなかった。真宵は、成歩堂に自分の気持ちにも気づいてほしかったからだ。真宵は、勇気を出して決心した。自分の気持ちに気づいてもらおうと。 『「「「待ったあああぁぁぁぁっっっっ!!!」」」』 気づいたら、ものすごい大声で叫んでいた。真宵は顔を真っ赤にしていた。ものすごく、気にしたらしい。 『エー・・・と・・・。ナル・・・ホド・・君?』 真宵は恥ずかしそうに小さい声で、成歩堂のケータイと切れてないか、たしかめる。 (これで切れていたら絶好だよ・・・・) 成歩堂は「くすっ」と笑った。 真宵にはその小さな笑い声がきこえたらしい。タコみたいに顔をますます赤くして口をパクパク動かしていた。 どうやら、恥ずかしすぎて、物も言えなくなっているらしい。その事実が成歩堂わかったらしく、笑いをこらえた。 「真宵ちゃんらしいや・・・。」 真宵は今度は別の意味で顔を赤くした。すると今度は、目から涙がまた出てきた。しかし、真宵はこの涙の本当の意味を解かっているみたいだった。成歩堂は、真宵が涙を流していることがわかったみたいだった。成歩堂は、まだ真宵が悲しんでいる、と勘違いをしたようだった。成歩堂は、急いで「ごめん!」とあやまった。すると今度は、真宵が「くすっ」と笑った。成歩堂はムッとして、言い返した。 「何だよ。僕、何か笑わせるようなこと、言った?」 少々、不機嫌な成歩堂に真宵は涙の本当の意味を教えることにした。 『ナルホド君。この涙はね、《嬉し泣き》だよ。』 と、少し嬉しそうに成歩堂に教えた。 「嬉し泣き?」 成歩堂は質問みたいに聞いた。きっと、なぜ、嬉し泣きをする必要があるのか、気になったからだ。そう聞くと真宵は、春美に聞こえないぐらい小さな声で答えた。 『だって、ナルホド君。やっと、私達を信じようとしてくれたんだもん。』 恥ずかしそうに、真宵は成歩堂に告白みたいに伝えた。 「信じるか・・・。よし!じゃあ、 ・僕がねつ造なんてしていない・ って、証明するって、信じてくれる?」 『当然!それまで、その勾玉を持っていてね。』 こうして、二人はある約束を・2つ・して、電話を切った。 そしたら、みぬきが成歩堂の側にテクテクと近寄ってきた。 「パパ。一番長い電話だったね。」 「うん。とても、大切な電話だったよ。」 そういい、成歩堂は、青空を見上げた。そして、約束を2つみぬきに聞こえないように言った。 「真宵さま。良いお電話でしたか?」 「うん。約束を2つしたんだ。」 そして、真宵はにっこり笑い、2つの約束を空に向かって言った。 『1つ目・ナルホド君がねつ造してないと信じる。 2つ目・いつまでも、ナルホド君を愛し続ける。』 一つ目の約束がはたされるのは、あと、もう少しかもしれませんが、 二つ目の約束は永遠に続くかもしれません。 お わ り |
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