逆転のブレイズ
作者: シアン   2013年01月03日(木) 11時48分53秒公開   ID:Wk8vzTtyS.E
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泣きそうな顔の春美ちゃん。

なんの根拠もないけれど・・・
とりあえず、春美ちゃんを落ち着かせないと。

「だ、大丈夫だよ・・・多分・・・」

口からでた声に、人を納得させるほどの説得力はかけらもなかった。
当然だ、自分も動揺しているのだから。
昨日出会った相手とはいえ、事件が起こった、こんなタイミングでいなくなるなんて・・・



・・・こんなタイミングで・・・?



・・・まさか・・・



ぼくの脳裏を、最悪の予感がよぎった。



どうか・・・
思い過ごしであってくれ・・・

祈るように、イトノコ刑事に連絡を取る。

「どうしたッスか?」

電話に出たイトノコ刑事に、

「イトノコ刑事!
教えてください、さっきの事件・・・
・・・被害者の、名前は?」

「どうしたんスか、いきなり・・・」
「お願いします、教えてください!」

「そんなこと言われても・・・
まだ被害者の身元は判明していないッス。
こっちが教えてもらいたいくらいッスよ。」
「そうなんですか・・・」
「・・・もしかしてアンタ、心当たりがあるんスか?」

心当たり・・・あってほしくなかった。

「被害者に会うことは・・・できますか?」




2月5日 午前7時00分


「心当たりがあるなら…特別ッスよ」

イトノコ刑事の許可を得て、刑事とともに、ぼくはその時間を待っていた。
春美ちゃんには刺激が強いだろうと、真宵ちゃんと一緒に部屋の外で待ってもらっている。

そして…7時。
来てほしかったような、それでいて来てほしくなかったような時間。

火傷の痕が痛々しい、その顔。
ぼくが見たのは―――



「そんな……」
自分の声が、変に乾いたように聞こえる。
「雅さん……!」




――その後。
病院を出て、……とても言いづらかったが、二人に見たものを告げた。
二人ともひどくショックを受けた顔をしていた。

イトノコ刑事に、『被害者』についてぼくたちが知っていることを話した。
そして、もう一つ……

「あの……イトノコ刑事」
頼まなければならないことがある。

「雅さんの……被害者の、妹の姿が、今朝から見当たらないんです」
「な……なんッスとお!?」

雅さんがここにいる以上、『瑠香ちゃんが雅さんと一緒にいる』という可能性はなくなった。
「捜索を、お願いしたいんです」
「分かったッス。じゃあ、特徴と名前を教えてほしいッス。」

「えっと……たしか小学3年生の女の子で、肩のあたりで茶色の髪を切りそろえてました。
名前は……狩魔、瑠香です。」
「……え。
狩魔、ッスか……?」
「はい。なんでも、狩魔検事のいとこだそうです。」
「い、いとこ……」
イトノコ刑事は驚いていたが、
「……分かったッス。狩魔検事にも、その子について聞いてみるッス。
じゃあ、自分は容疑者のこともあるのでこれで……」

容疑者……!

「イトノコ刑事!その人に会わせてもらうことはできますか!?」
「えっ!?……いや、その、……何でッスか?」
「もしかして、被害者の妹について、なにか知っているかもしれません!」

今は、瑠香ちゃんについて、なにかひとつでも手がかりがほしい。

「……!そうッスか、じゃあ……本部に許可を問い合わせてみるッス。」
「ありがとうございます!」

イトノコ刑事は、ボロボロの携帯電話をコートのポケットから取り出し、電話をかけ始めた。

瑠香ちゃん……
どうしているんだろうか……?













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