逆転スクール(2)
作者: たこやきDJ   URL: http://gyakutensaibansaikoudesu.rakurakuhp.net   2012年10月21日(日) 00時53分51秒公開   ID:LzdaZMFcgiE
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その主犯格が彼女だ。
私は基本いじめというものに興味がない、むしろ嫌いなのでやらない。亮介も真理もだ。

「またやってるわね」

隣で真理が言う。
この光景はもはや日常で、私達は傍観しかできない。
その原因は藤崎の体格にある。
さっきも言った通り、彼女は柔道部でガタイが良い。立ち向かえない。全く持って情けない。

「ああ、よく飽きないな」

このままヒートアップするかと思った日常の光景は、その数秒後教室のドアの前に立った森晶先生の登場によって治まる。
先生が入って来た時には、全員席に着いていた。

「えーとね。うん、授業は自習だよ、以上」

そう言って先生は外に出て行った。
クラスで歓声が飛び交う中、私だけは納得いかず、廊下に出た先生の前に立った。

「先生、自習ってどういうことですか?」

「自習は自習だよ」

そう言った後、先生は目をそらした。
何か隠してると確信した。
どうやら、生徒に言えない何かがあるらしい。
だがそんなの……私のスキルで聞きだしてみせる。
会話の波、要するにチェス盤。的確な言葉、要するにコマ。
私のスキル、それはロジックチェス。
私の目の前に青い世界が広がった。
相手のコマは五つ。
こ、これは厳しい。休憩時間だけではむりかもしれない。
だがしかし、聞ける所までは聞いてやる。

       〜ロジックチェス〜
          開 始

さてと……とりあえずは、何故隠すのか訊いてみるか。
その前に、先生を分析しよう……先生は見た感じ焦ってる。ようすを見たりしたらすぐ会話を打ち切られてしまうかもしれない。
ここはどんな発言でもいい。積極的に行こう。


[なんで自習なんですか?]


「なんで自習なんですか?」

「大人の都合というものだ」

大人の都合って便利……。
だがここで引き下がるわけにはいかない。


[大人の都合なんて打ち砕いてやる!]

[さっきの悲鳴と関係あるんですか?]

[ようすをみる]


頭に浮かんだ選択肢がろくでもない。
ようすをみるわけには行かないので二つ目の質問で行く。
一つ目?却下。

「その大人の都合、さっきの悲鳴が関係あるんじゃないですか?」

相手の駒が一つ割れた。
もろいものだ。

「……そうかもしれないね」

まだ言わないか。
とりあえず、さっきと同じように何故そのことを隠したのか、訊いてみよう。


[なぜ隠したんですか?]

[あめちゃんあげるから教えてくれないかなー?]

[隠すと後々恐ろしいですよ]


「なんでそのことを隠したんですか?」

言う必要はないだろうが、
二つ目は誘拐。
三つ目は脅迫の手口だ!

「べ、別に、後で言おうとしただけだよ」

うわ怪しい。
後で言おうとした……か。
……追究してみよう。

「後で言おうとした? なんでですか。見たとおり、周りには警察が居ます。自習に悲鳴が関与することぐらい誰でも分かります」

「だからどうしたの。後で言おうが僕の勝手じゃないか」

ううむ、口を割る気はないようだ。
別の観点から攻めてみよう。

「じゃあ、あの悲鳴は何だったのですか」

そういえば、あの悲鳴の正体をまだ私は知らない。

「言えない」

ん!?……今、今までほほ笑みながら話していた先生が今一瞬真顔になった。
これは……もしかして!

「先生、悲鳴の正体は……」


[ゴキブリですね]

[死体ですね]


私ははっきりと、自信を持って言った。

「ゴキブリを見て悲鳴を上げたんですね!」

「……え?」

「……あ」

しまったぁぁぁぁ!勢い余ってよく分からん事言ってしまったぁぁぁぁ!
あ、ちょっと待って先生。無言で立ち去らないで!待って!いや走らないで!
私は先生に聞こえるくらいの声で言った。

「死体ですね!」

そう私が言った時、先生足を止めて、こちらに戻ってきた。

「……そうかもね」

駒がまた一つ割れた。
なるほど……死体を見て須々木先生は悲鳴をあげたのだろうな。

「……少し話し過ぎちゃったよ。このことは内緒だよ」

……おかしい。
まだ駒が三つある。
まだ隠していることがあるのだろうか?

「待ってください。まだ隠している事があるんじゃないですか」

「……いや、無いよ」

そう言うと、先生は去って行った。
……これは大きな収穫だな。
そう思って教室に戻ろうとした時だ。
女の人とぶつかった。

「きゃっ! あ、ごめんなさい」

私が何か言う前に、彼女は行ってしまった。
見た感じ婦警だ、ひどく慌てているようだった。
……おや、何か落として行ったらしい。

(証拠品・男の写真)
「目の下に傷がある男の写真。
 控え目な雰囲気の人だ」

ム、なんだろうこれは。
見た感じ写真だが……さっきの彼女のものだろう。
後で返しておこう。
そして今度こそ教室に戻った。


同日某時刻 二年生教室

この部屋の中には二つの人種がいる。
一つは静かに自習をしているもの。
もう一つはおしゃべりをしているものだ。
私は当然前者だ。
……亮介はその逆だが。
時計を見ると十時三十五分になっている。
もう少しで二時間目の自習が終わる。
ちなみに、この学校はスケジュールは……。

(証拠品・スケジュール)
「8:15 登校 
8:20 読書タイム
8:35 朝の会
8:45 5分休憩
8:50 1時間目
9:40 10分休憩
9:50 2時間目
10:40 10分休憩
10:50 3時間目
11:40 10分休憩
11:50 4時間目
12:40 給食準備
12:50 給食
1:10 昼休憩
1:30 掃除
1:45 5分休憩
1:50 5時間目
2:40 10分休憩
2:50 6時間目
3:40 帰宅準備
3:50 終わりの会
4:10 放課後
5:40 完全下校」

こんな感じだ。
だからもう少しで十分休憩だ。
そんな事を考えながらふと佐多中の席を見てみた。
何やら周りを見て何か探しているようだ。
そういえば、消しゴムがないと藤崎と争っていたな。
おそらく消しゴムを探しているのだろう。
ちなみに、佐多中の席は私のやや右前だ。

「ねぇ」

ふと真理が声をかけてきた。

「何?」

「あの時先生と何話してたの?」

「ああ……あれなら、お前には関係ないことだ」

私がそう言っても彼女は一方に引き下がらない。
そうこうしている内にチャイムが鳴り授業が終わったので、私は彼女から逃げるように次の教室へ移動した。


同日10時42分 数学教室

三時間目は数学なので私はここに居る。
後八分で授業が始まるが実に暇だ。
なんとなく机の上にうつ伏せになったら真理に頭を叩かれた。
なんだ、なんなんだ、お前はそんなに私の睡眠を妨害したいか。
そう思ってると、足もとに光るものを見つけた。
何かと思い拾ってみると、ダイヤだった。
と言ってもそんな豪勢なものではない。
プラスチック製の小さなものだ。要するにおもちゃ。

(証拠品・ダイヤ)
「プラスチック製のダイヤ
 数学教室で拾った」

普段ならこんなもの目に留めないのだが、なんとなくポケットにしまった。特に理由は無い。
そして数学が始まる。
そんな中廊下を警察が移動しているのだ。
異端。混沌。理解不能。帰らせろ。
それにしてもだ、プラスチック製のダイヤが何是こんな所にあるんだ。
おもちゃは学校に持ってきてはいけないはずだが……まぁいいや。
それにしても、数学は難しい。あーなるほど。ふむふむ。あんぱんあんぱん。
そんな事を考えていると、三時間目も終わりかけていた。







更新中
■作者からのメッセージ
長らくの放置、申し訳ありませんでした。
突然ですが、諸事情により、この物語は終了とさせていただきます。
楽しみにしていただいていた方々、申し訳ありません。


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