覚醒の星 其の壱
作者: マージ   2008年03月13日(木) 16時15分31秒公開   ID:fAwYHjTakkg
薄暗い照明に照らされた屋根を頂く部屋で、一人の少女が端末に向かってキーボードを叩いている。

セミロングの茶髪に蒼い瞳を持ち、純白のノースリーブのワンピースを着ている。

丈は短く、下にスパッツを穿いている。

少女は酷く疲れているらしく、深く溜息をついた。

「大丈夫ですか?」

突然、背後から声を掛けられたので、少女は思わず飛び上がってしまった。

「脅かさないでよ、レイ」

少女は言ったが、レイは全く気にする様子は無い。

「別に、脅かしたつもりはありませんよヴァネッサ。コーヒーをお持ちしました」

紙コップに入ったコーヒーが置かれると、ヴァネッサはそれを一口飲んで再び端末に向かった。

「上手くいきそうですか?」

レイがヴァネッサの背中越しに、端末の画面を覗き込んで訊く。

「う〜ん、微妙。もうちょっと具体的なデータがあれば覚醒するんだけど・・・」

ヴァネッサは腕を組んで、考え込んだ。

画面には無数の数字が表に羅列されており、其の数字の隣には、データを取った地名が記されていた。

「仕方ありませんね。こうなったら、本土に『ジオ』を放って、調査に適した人材を探し出しましょう。それしか手はありません」

レイの言葉に、ヴァネッサは表情を曇らせる。

「ええ、でも心配よ。『ジオ』によって、その人の人生は大きく狂ってしまうもの」

額に手をあて、暫く思案していたが、やがて何かを決心したらしく、手元のキーを押した。




「お、送ってきましたよ」

ヴァネッサに代わって端末と向き合っていたレイは、本土に送った『ジオ』から転送されたデータを見て、歓喜の声を上げていた。

「どれどれ」

古びたソファーに横たわっていたヴァネッサも、次々に送られてくるデータに、驚きの声を上げていた。



だが、二人はまだ知らない。この中に、本来選ばれてはいけない人間が含まれていることを。

やがて始まる大規模な『調査』。

事態はやがて、二人の思惑とは違う方向に向かうことになる。
■作者からのメッセージ
初めましてマージです。

初作品ですが、いかがだったでしょうか?

短いですが、次回からはもっと長めに書けるように頑張ります。

それでは。

■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集