RUNE SHADOW 第六話 |
作者:
ラスレイ
2007年08月19日(日) 20時24分00秒公開
ID:.ePzohpbKOU
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2人の剣筋は虹色の奇跡を描いて度々、ぶつかり合う。 2人の剣技は誰もが教えを請う様な強さだった。 「…。」 「…。」 2人は黙って激しく剣を弾き合っている。 迷宮の中心と思われる場所には高層のビルが幾つかとむき出しの鉄骨が合わさって作られている、ビルに負けない高さの物が在った。 「…。」 ブレイドは一瞬、迷いが生じた様に思えた。 一瞬の油断でルビィティはブレイドに一撃を打ち込んだ。 「! ぐっ!」 ブレイドは吹き飛び、壁に当る。 「…、ルビィティ…ここは…。」 「気付いたか?」 ルビィティの顔が段々と笑ってくる。 「ラガル…?」 「そうだ…! このガイン王国の隣国、今は滅んだベグライル帝国の最南東の街…ラガル…貴様の…故郷だろう?」 「何故…それを…?」 「紛れも無く俺等ルーインがぶっ潰した。紅牙はよぉ…、俺達ルーインには永遠の不老不死を与えるんだ…。今のルーインの奴等は俺も含めて軽く100歳を超えてるぜ? 俺等は戦い以外では死なない。」 「な…、信じられるか…。」 ブレイドは壁にもたれながらルビィティを睨む。 「紛れも無くあの街を潰した。そん時、小さかったお前が母親に護られてたぜ…。」 「!! 母をどうした!?」 「お前に空間の加護と時空転移をかけてお前を逃がした後、俺が殺した。まさか、貴様の母の属性が空間だとは…、本当はルーインに入れたかったんだが、断られてな…。」 この世界は人がそれぞれ必ず、1つ以上の属性を持っている。 火 水 雷 風 氷 土 木 闇 光 時間 空間 火は水に弱いが木に強い。水は雷に弱いが火に強い。雷は土に弱いが水に強い。風は氷に強いが木に弱い。土は氷に弱いが雷に強い。氷は風に弱いが土に強い。光は闇に強いが闇に弱い。闇は光に強いが光に弱い。時間と空間は全てに強い。しかし、空間は時間、時間は空間に弱い。 空間の攻撃を時間以外の属性が受けると存在が時空から消え去る。 時間の攻撃を空間以外の属性が受けると受けたものの時間が約2000年進む。 防ぐ手立ては空間の加護と時間の加護を受ける事。 受けた加護は一生続く。 「馬鹿だったな…、お前の母親は俺に空間術を当てれば良い者を、みすみす殺さたんだからな! お前は空間の属性では無いしな…。」 何時の間にかブレイドが立ち上がっていた。 「ククク…ありえねぇ魔力だ…。」 ルビィティは後ろに飛び退く。 ブレイドも追いかける。 2人の剣は幾度も空中で交える。 「空中戦なら、中心のがいいだろ!」 ルビィティはブレイドの首を掴んでビルの方向へ投げる。ルビィティも投げた反動でブレイドも追いかける。 ブレイドは高層ビルの1つのガラスを割って中に転がる。 ルビィティも息をつく間も無く、飛んできて、剣を振るう。 ブレイドは初撃を交わすと、2撃目からは剣を持って負けずと水平に剣を振るって反撃する。 「はっ! そんな攻撃、余裕で――」 ルビィティがブレイドの2撃目を容易に避けるが、即座に気付いた。 自分はワザと剣のリーチにギリギリ入るか入らないか程の場所へ後ろに飛んで攻撃をかわしていた。 それでは駄目だった。 攻撃が回避されるのを予め解っていた彼はルビィティが空中で身動きがとれないと思い、自分が割って入ったビルのガラスの破片を水平斬りより少し遅らせて投げていた。 「っ!」 狙いは的中。 ルビィティは防がなければ心臓に突き刺さる所だった為に、腕でガードをする。 腕から鮮血が滴り落ちる。 着地後に 殺す! と叫んだルビィティであったが、既に遅かった。 ルビィティの着地と同時にブレイドは重い斬撃を出していた。 とっさに剣で防ぐものの、相手の力が強すぎてビルから吹き飛ばされる。 ビルに剣を突き刺し、減速させ、最終的に止まる。 「くそっ!」 ルビィティはそう吐き捨てて自分で突き刺した剣の柄と刃にかけて足を乗せて立つ。 「お土産だ! ルビィティ!」 上からブレイドの声がした。 「なっ――」 ブレイドも自分の真似をして剣の上に立っていた。 そして、即座にビルの少し突き出た屋上の部分が斬られていて、落下してくる。 ブレイドは剣から飛び降り、即座に柄に手をかける。 そして、剣を思いっきり下に振り下ろすと、反動で回りながら身体が浮く。 上から落ちてくる瓦礫の山の中でも特に大きい物を真っ二つに切り開き、その反動でビルの屋上へと飛び乗る。 「ちぃ!」 ルビィティも同じ様に剣を下に振り、身体を浮かせる。 上から落下してくる瓦礫を幾度も斬りつけ、時に瓦礫に手をかけて自身を上えと引き上げる。 丁度、一際目立つ大きな瓦礫が隣にあった時、その瓦礫は半分に斬られて奥からブレイドが剣を振りかざして飛んでくる。 「なっ――!」 「騎士魔法―白刃!」 ブレイドの剣が白く光る。 「騎士魔法が使えるかぁ!?」 ルビィティはとっさに叫ぶ。 「騎士魔法―紅刃!」 ルビィティの剣が赤く光りだし、ブレイドの攻撃を受け止めて弾き飛ばす。 「本来、騎士魔法は魔力のコントロールがとても難しい魔法! そして、古の紋様を無視できるのか!? 貴様ほどの魔力を持つ野朗が!」 騎士魔法は本来、高い技術が必要だ。 古の文様と呼ばれる不思議な陣を剣で空に描いて発動する。 それを破棄するとなると、更に高い技術を要する。 「無論だ! そして、お前だって文様の破棄をしてるじゃないか!」 2人は幾度も剣を交える。 やがて2人は地面に着く。 「これで――」 ブレイドが剣を掲げる。 「最後だなぁ!」 ルビィティも同じだった。 「騎士魔法―雷光命断牙!」 ブレイドの剣に突然、雷が落ち、その力を分け与えるかの様にずっと雷は続いた。 「騎士魔法―ヘルバーニング!」 ルビィティの剣には地面から灼熱の業火が味方している様に、周りが蒸発し始める。 剣には赤き紅蓮の光が纏っている。 そして2人は同時に前へ出る。 「……。」 ウルオスは無言でルナを見ている。 ウルオスは最大級の魔法の衝突で体中傷だらけだった。 しかし、ルナはもっと酷い。 誰もが美しいと思う様な雪の様な肌は血で赤黒く、手も、足も、かなりの傷をおびている。 相当の重症だ。 死んでいてもおかしくない。 「う…。」 ルナは生きていた。 その美しい顔から落ちる血で左目を閉じながらも、右の碧眼はしっかりと開けていた。 「…、ウルオス…、手当を…?」 「今回限りだ…。」 ウルオスは背を向けていた。 「…。」 ルナは美顔を悲しみに沈めながらもウルオスを見ていた。 そして、足元に魔方陣が生じて消える。 「何故…?」 ルビィティは自分の身体に一閃の傷が生じた事に気付く。 鮮血が迸った。 「エルフィア…。」 ブレイドから妖精が出てきた。 「…そうか…妖精使い…、妖精のお陰か…。」 「そうだ…。そいいっても、貴様はまだ本当の実力を隠しているな?」 「お見通しか…ブレイド…。また今度…、本気で戦ってやるよ…。」 ルビィティはそれだけ言うと、足元に魔方陣が出来て消えた。 「共通術の転移か…。何処へ行ったものか…。」 ブレイドは母を思い出すように言った。 「さぁ…始めようぜ! ラルドォ!」 漆黒の空間に黒爪を出したアレンの声が響く。 「行くぞ…。」 白翼を出したラルドが返す……。 |
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