RUNE SHADOW 第五話 |
作者:
ラスレイ
2007年08月16日(木) 19時57分14秒公開
ID:.ePzohpbKOU
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ウルオスのシャドウホール内は銀色だった。 壁には扉の様な物があり、扉の数は精々2、3個であり、頭上は宇宙であった。 「ここは…!」 ルナは広場の中心に立っていた。 「見覚えがあるだろう?」 正面の一際目立つ大きな扉からウルオスが出てきた。 「…月の神殿…。」 ルナの声は強張っていた。 「ご名答…ルナ。」 ウルオスはそれだけ言うと、ローブを脱ぎ捨てた。 白銀の髪に皮の鎧の様な物を纏った体があらわになる。 そして、ウルオスが手を開き、正面に突き出すと、白銀の剣が虹に包まれて現れ、ウルオスの手に収まる。 魔導師の為りをしていたが、どうやら剣士らしい。 「ルナ…長老は何故、私ろお前をココに来させたか知っているか?」 「いいえ…。」 「女神を目覚めさせる為だ…。人々に裁きを下す為に、女神の意見を聞き入れるた為に…。その為には賢者が必要…だから賢者を探し出すように我らに頼んだ。」 「何故!?」 「人が過ちを犯しすぎているからだ!」 ルナは黙って話しを聞いていた。 「何故、アナタがルーインに居るの? 賢者とは関係ないでしょう?」 「ルーインは邪神を復活させる為に邪魔な賢者を捕らえようとしていた。私はそこを助けるつもりだったが…ルビィティ様に出会った。」 ウルオスはルナに背を向けて歩き出した。 「ルビィティ様の思想は完全だった。人を滅ぼして1から始めるという考えに引かれ、ルビィティ様の傍にいる事を決めた…。今や私も、女神を復活させる必要も無い。私とルビィティ様と邪神で人を滅ぼすのだから! 女神は邪神を倒す存在…。」 ウルオスは振り返る。 「魔絶大戦には偽りがある。邪神を倒したのは賢者では無い。女神自身だ。しかし、女神は邪神を倒した為に、人々に祭り上げられるのを拒んだ。それで、共に居合わせた賢者に頼み、賢者が倒したと言う様に記録を偽った。」 「っ…。」 「お喋りが過ぎたな…? そろそろ始めよう。」 ウルオスは剣を縦に持つ。 「神速の剣と謳われた私をお前が倒せるかな?」 それだけ話すと、ウルオスは光速ともいえる速さでルナの目の前に現れた。 ルナはそれを見切って、一瞬で後ろへなんとか下がっていた。 「グレシィア!」 ルナが手を上げると、手の周りに氷の飛礫が出来、風で手の周囲を回り始めた。 次第に数は増していき、最終的には飛礫はとんでもない数、風は大嵐の様に吹き荒れ、ウルオスは立っているのがやっとの様だった。 「はぁ――!」 ルナは手に氷と大嵐を纏ってウルオスに突進する。 ルナに近づけば近づくほど、嵐は威力を増した。 ウルオスの周囲の石畳はヒビを生やし、建物は壁が崩れだす。 「ぐがぁぁ!!」 ウルオスは大嵐の真っ只中に入る。 「ぐっ!」 嵐でルナの姿は見えない…それよりも、自分の身の心配が優先だった。 氷の飛礫が幾度も顔、胸、腹に叩きつける。 「ちぃ!!」 ウルオスは飛礫に叩かれながら、叫ぶ。 「アンチ ロウ!」 周りの嵐と飛礫の打撃が嘘の様に止む。 「流石ね…。」 「ルナ…っ!!」 ウルオスの顔は赤く染まっていた。 「殺す…! もう許さない! 手加減はしない!!」 ウルオスは目を充血させ、剣を持つ手に力を入れる。 「騎士魔法 ヘルブレイク!!」 ウルオスが剣を逆手に持ち、地面に突き刺す。 すると、突き刺した場所を中心に魔方陣が現れ、魔法陣の中は暗黒の雷で荒れている。 「死ねぇ!」 一閃の雷を剣に集結させ、ウルオスの剣は瞬く間に巨大な雷の剣となった。 剣を縦に一振りすると、轟音と共に雷撃の波がルナに当る。 「キャッ…!」 ルナはその場を何とか飛び退いたが、雷撃が建物に激突し、その破片が体と頭をかすめたり、当ったりする。 「…ハァ………。」 ウルオスは息を切らしている。 2人共、強力な魔術を使用した為に、息が切れている。 「…次で…。」 「最後ね…!」 2人はその場で何かを呟きははじめた。 ルーンだ。 魔法を使うとき、ルーンを唱えれば、威力は飛躍的に上昇するが、ルーンを破棄する事でも、呪文は成立する。 ルーンを使ったほうが威力は高いが、ルーンを唱えている間中、動くことは出来ないし、目を開ける事さえ出来ない。 「光集いし我、身体。虚空に現る白き天。輝き纏いて我力とならん!」 「闇浮かびし夜の空。明るく照らす銀の月。暗黒纏いて我牙とならん!」 2人がルーンと唱え終わったのは同時だった。 「光の大魔術・シャイニング レイ!」 「闇の大魔術・ダークネス ブロウ!」 ルナの周囲が段々と眩しく光ってゆく。 ウルオスの周囲は段々と暗くなってゆく。 ルナの足元の光は1つの場所に集まって1つの光球となる。そして、ルナが触れると、すざまし魔力は凝縮され、光球から一閃の太い光がウルオス目掛けて貫く。 一方、ウルオスも足元の暗闇がウルオスの前に球となって現れ、ウルオスがその球を斬ると、太い波動がルナに向かって貫いた。 大魔術同士のぶつかり合いは周囲の建物を一瞬で消し去った。 中央辺りでぶつかり合った力は反発し、周囲を暗黒と光で包み込んだ。 辺りは崩壊を始め、危険な状態だった。 光と暗黒が収まった時、立っていたのはウルオスだった……。 ルビィティのシャドウホール内は入り組んだ迷宮のようだった。 前後左右に道があり、天井は無い。 「さぁ…始めようぜ? ブレイドォ!」 「…ルーイン総司令官…ルビィティ! 貴様は生かしておけん!」 「よく言うぜ! お前、俺に勝てるのか? 「やれば…解る!」 それだけの話をすると、2人は剣を抜いて激しくぶつかり合う。 2人の剣筋は見えなかった。 最速ともいえるべき速度で繰り出される剣は常人ではとてもじゃないが反応できない。 2人のぶつかり合いは達人以上のレベルだった……。 |
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