RUNE SHADOW 第三話 |
作者:
ラスレイ
2007年06月29日(金) 20時43分33秒公開
ID:.ePzohpbKOU
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辺りは暗い…、しかし、ラルド一行の泊まる砂漠亭のあるザール村。 しかし、村というよりも、街と言ったほうがいいかもしれない程に活気に満ち溢れている。 時間は9時にも関わらず、メインストリートには人々で賑っている。 ラルドは砂漠亭の部屋のテラスで風を楽しんでいた。 すると、突然、部屋の下の食堂(食堂よりも酒場と呼んだ方が合っている)でガラスの割れる音と女の声が響いた。 「何だ!?」 ラルドはテラスから身を乗り出すと、部屋に入って自分の大剣とマント、小さなダガーを1本持ってテラスから飛び降りる。 流石は元・盗賊だ。 常人以上の身軽さで茂みに降り立ち、木陰に隠れて大きな窓から中の様子を探る。 そこにはハゲと茶髪の筋肉男と、魔術師の様な眼鏡男が1人、ハゲの筋肉男に捕まったメリアンと茶髪に捕まったリリアンがいた。 そして、剣を抜いたブレイドとルナがいた。 リリアンが何やら叫んでる。 しかし、風と窓ガラスのせいで良く聞こえない。 仕方なく、ラルドは窓ガラスを割って中に飛び入った。 「盗賊ラルド。只今参上!」 ダガーを抜いて逆手に持つ。 そして、鋭い目つきで3人を睨む。 「ラルド!」 最初にルナが高い声で叫んだ。 「良く来てくれた!」 ブレイドも鎧の音を立てながら近づいてきた。 「ちっ! 仲間か!?」 「ヒヒヒ…、3対3ですねぇ…。」 メガネ男が囁いた。 「よし! タイマン戦といきましょう! 体力が無くなったら負けぇ!」 「おい! 何、勝手に決めてんだ! 糞メガネ!」 ラルドが叫ぶ。 「私は大魔術師ズックだ! 無礼者! コソ泥。」 「盗賊と呼べ、ガリガリ魔術師、略してガリ魔。」 「なぁぁぁぁにぃぃぃぃ!?」 「落ち着けズック。」 「止めるな! ブローリー!!」 茶髪の男がズックを止めようとしたが、言い返される。 「ムダだ、ブローリー。」 「しかし、ヴィン!」 ヴィンと呼ばれたハゲ頭の男が少し悲しい顔をしたためにブローリーは言い返さなかった。 「さっさと表に出ろ! こそ泥集団!」 ズックが言う。 戦いは砂漠亭中央広場(といっても広場はここだけで、周りを壁が囲んでおり、部屋の窓が夥しくついている)で行なわれる事になった。 戦いは明日の昼。 ラルド達は十分な休息をとった。 戦いの日…。 初戦はヴィンVSルナだった。 相手はデカイ斧を持っていた。 いつの間にか住民の1人が審判をしていた。 「始め!」 住民の合図で戦いが始まった。 開始早々、ありえないスピードでヴィンは間合いを詰めて斧を振り下ろした。 しかし、ルナに当たる直前に弾かれた。 「…マジックシールド。」 「こいつ…。」 ヴィンはジャンプで間合いを取る。 しかし、間髪いれずルナは魔法を放つ。 「ホーリー!」 ヴィンの頭上に光球が出来て落ちる。 「くぁぁぁ!」 落ちた場所から光の柱が上がる。 ヴィンは横にそれて交わす。 しかし、受身を取るのに失敗した為に、斧を飛ばしてしまった。 斧はルナの前に刺さる。 そして、ルナは斧を持つと、ヴィンに近寄る。 ヴィンの顔は涙でグチャグチャだった。 ルナは斧を振り上げ、ワザとヴィンの頬にかすり傷を作った。 「し…試合終了…勝者ルナ!」 審判は唖然としていたものの、スグに向き直る。 2人は自分達のベンチ(?)へと歩く。 「第二試合! ブレイドVSブローリー! 始め!」 ブローリーの装備はブレイドと同じだった。 身軽そうな鋼の鎧に剣、そして盾。 色が違うのみでほとんど同じだ。 試合開始と共にブローリーの姿はブレイドの視界から消えていた。 上空に飛んでいた。 恐るべき速さで落下する垂直斬りを剣でブレイドは受け止めた。 「お前の剣と俺の剣、俺の剣が上だ!」 ブレイドは弾き飛ばすと、剣先から衝撃波を出した。 剣を用いて使う魔法、騎士魔法だ。 ブローリーは衝撃波を剣で受け止めるが、耐えられるはずがない。 剣は真っ二つ、鎧を引き裂いて、少し出血した所で終わった。 ブレイドは手加減していたのだ。 「試合終了! 勝者ブレイド!」 そのままベンチ(?)に立ち去る。 「最終試合! ラルドVSズック! 始め!」 ラルドは開始と共に魔法を使う。 「ダークインペリアス!」 ズックの周りを闇が囲む。 しかし、ズックが闇に隠されても、ある一点が輝いた。 「ホーリシールド!」 ダークインペリアスは消える。 肉弾戦と見たのか、ラルドは背中の大剣を取り出す。 ズックも肉弾戦が可能なのか、細身の剣を取り出す。 弱そうであったが、ズックの腕前は並みの騎士では相手にならない程だった。 剣と剣のぶつかり合う高い金属音が響き渡る。 「スキあり!」 ズックはラルドの懐に剣を突き出す。 罠とも知らずに。 ラルドは剣に動作を加えて2本にすると、ズックの首に剣を振る。 スピードはラルドのが速い。 ズックは攻撃を止めてしゃがむ。 しかし、2本目の攻撃だ。 「マジックブレイザー!」 そう叫ぶと、ズックは吹っ飛んだ。 剣の攻撃は外れる。 「マジックブレイザー…指定した物を飛ばす魔法か。」 「く…くそ。」 ズックは立ち上がり、ラルドの心臓を狙って走る。 ラルドはとっさに剣で防いだ。 重い音が響き渡り、ラルドの1本の剣が飛ぶ。 そして、少し離れた所に刺さる。 もう1本もズックの攻撃で弾きとばされる。 「ガラ空き!」 ズックは喉元に剣を刺そうとする。 しかし、腰から取り出したダガーの柄でズックを吹っ飛ばす。 「弱いな…。」 「試合終了――」 その時、中央広場のドアが飛んで、そこには赤い髪に、剣一本のみ持った20代前半の青年が立っていた……。 |
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