RUNE SHADOW 第二話
作者: ラスレイ   2007年06月15日(金) 20時54分58秒公開   ID:.ePzohpbKOU
 辺りは砂が支配し、まるで、気温はサウナのようだ。
 照りつける太陽の温度は高く、水をコマめに摂取しなければ、脱水症状で死に至る。
 サボテンが幾本か生えている、辺り一面、薄い茶色の アラス砂漠 の上をラクダではなく、馬で歩いている3人の人影があった。
 ラルド、ルナ、ブレイドだ。
「暑いな…、水筒が底をついたぞ!」
 ラルドは自分の汗をうっとうしそうに服で拭き取る。
「もう少しで、中間地点のザールという村が見えるはずだ。」  
 この3人は4日間、暑い砂漠を旅してきたのだ。
「んな事…マジで暑い…、あぁぁ! 暑いぃぃ!!」
「喚くな! 更に暑くなる! 少し黙れ!!」
 ブレイドはラルドを制止する。
「しかし、暑いですね…。」
 ルナも自分の汗のせいで片目を瞑りながらも言う。
 所々に穴がある。
 恐らく小さな生き物の作った穴なのだろう。
 一行はそれほど気には止めなかった。
「ふぅ…、そろそろ見えるはずだぞ! あっ! あれだ!」
 ブレイドの指差す方向には微かな煙が立ち込めている。
「よっしゃ! 行くか――」
 その時、莫大な流砂と共に、巨大な生き物が小さな穴から現れた。
 黄色い甲羅に4つの赤い目、鋭い4本のカマ、6本の安定感のある足、唯一の弱点っぽい場所は時々、鳥肌のたつ動きをする腹部のみ。
「んな! 何だこいつ!?」
「アデルファ! 人喰いの獰猛な甲虫だ! 喰われるな!!」
 アデルファはギイギイ喚きながら、狂った様に近づいてくる。
「くそ! 逃げろ!」
 3人は足で合図を出して、全速力で馬を走らせる。
 しかし、アデルファを見くびっていた。
 恐るべき俊敏さで、馬の全速力に余裕で着いて来ている。
「ちっ! 戦うしか無い!」
 ブレイドは剣を抜くと、腹部に一突きする。
 アデルファから、緑色の液体が飛び散り、カマを振り下ろす。
 すると、ブレイドはカマを避け、アデルファは自分で自分を斬りつけた。
「! あいつ! 図体だけで利口じゃ無い!」
 ラルドが大きな剣を抜き、少し動作を見せたかと思うと、剣が半分になり、二刀流になった。
「喰らえ!」
 ラルドは大きく跳躍し、アデルファの目を2つ突き刺した。
 さらに、アデルファは暴れる。
 そして、再びカマを自分の顔に突き刺す。
「学習しろよ!」
 アデルファはその場に倒れこむ。

「ふ〜、やっと着いたぜ!」
 一行はアデルファに襲われながらも、ザール村に着いた。
 村の中は活発で、ターバンを頭に巻いた人たちが、水瓶を持ていたり、何度もそのあたりを往復していたりしている。
「よしっ! 水の調達だ!」
 3人は水屋に急いだ。
 そこで、3人は天然の水を6ℓも購入した。
 1ℓ水筒は1人2本もっているからだ。
 代金は50Gであったが、首都で1000Gを荒稼ぎし、馬代と酒代で少量使ったものの、まだ有り余っている。
 次は食を販売している店に行った。
 革袋を1人1つと、干し肉を12枚(1人4枚)と、コショウを革袋に詰めて、500S、安いものだ。
 次に3人は宿に泊まる事にした。
 この村に唯一の宿 砂漠亭 だ。
 中に入ると、金髪の美しい少女がラルド一行を出迎えた。
「ようこそ、砂漠亭へ。メリアンです。」
 メリアンは一礼する。
「お泊りでしょうか?」
「ああ、1日だ。」
「承知しました。 お食事は右手の部屋でお好きな時間に。しかし、6時〜11時までです。お一人様500Bですので、3名様で1500Bでございます。」
 ブレイドは1000Bの硬貨と500Bの硬貨を袋から取り出して、メリアンに渡す。
「確かに、では着いてきてください。」
 メリアンに案内されるまま、2階に上がり、200と書かれた部屋に入る。
「では。」
 それだけ言うと、メリアンは部屋を出て行った。
 ラルド達がここに着いたのは真昼間で、買い物で少々時間を潰し、今は昼過ぎだ。
 早速、昼食を食べに行く事にした。
 一階に降り、先程、教えられた部屋の扉を開けると、酒場の様な場所だった。
 色々な女男が酒を飲んで、ワイワイやっている。
 ラルド達は空いている席を見つけ、座ると、近くにいた女を呼ぶ。
「ちょっと頼む!」
 ブレイドが手招きすると、青い髪の女は駆けつけた。
「何? 何か用事?」
「おぃおぃ! そのタメ口は無いだろ!?」
 ラルドは机を叩く。
「とにかく、ブドウ酒を3つ。」
「……1G。」
「おい! 酒3つで高いだろうが!」
 またしてもラルド。
 確かに、酒3つで1G、首都ではおつりが来る。
「ここらでは酒は貴重品なの!」
「…ハイハイ!」
 ラルドは自分の袋から徐に金貨をとりだし、一枚投げる。
 女はそれを取ると、その場を立ち去ろうとする。
「おい! 名前は?」
「他人の名を尋ねるときは自分からよ?」
「ちっ! …俺はラルド!」
「ブレイドだ。」
「ルナです。」
 女は鼻であざ笑うと、自分の自己紹介を始めた。
「私はリリアン!」
「メリアンとは大違いだな!」
「メリアンとは違うわ!」
 どうやら、この宿屋はリリアンとメリアン、後、厨房の者のみのようだ。
 すると、奥の厨房からオーナーの様な大男が出てきた。
「妹が失礼をしました。オーナーのアルーデです。さぁ! 早く!」
 それだけ言うと、アルーデはリリアンの首根っこを掴んで奥へと引きずり込んだ。
 少し時間が経つと、ブドウ酒を3つが運ばれてきた…リリアンに。
 ラルドはハンッと鼻で笑い、ブドウ酒を一気に飲み干した。
「おいしい…な。」
 他の2人も飲み干す。
 そして、3人は部屋に戻る。

「んだよ! リリアンって奴!? 酒は美味かったけどよ!」
 部屋に戻ったのは夕暮れ近かった。
 少し、村をまわったからだ。
「まぁ、しょうがないさ、アンナ性格なんだろう。」
「俺は夕食パス!」
「…全く。」
 そういうと、ラルドはテラスに出て、風を楽しみ始めた。
「我々のみで、行くか。」
「はい。」
「行ってくるぞ!」
「あぁ……。」
 ブレイドとルナは部屋を出て、再び、厨房に向かった。
 まだ、厨房はかなり賑っている。
 酒のグラスがぶつかる音、椅子のガタガタ揺れる音。
 ブレイドとルナが座ると、また、リリアンが来た。
「あれ? ラルドとかいうのは居ないんだ。」
「ああ、部屋にいる。」
「ふ〜ん。」

「ったく、涼しいぜ!」
 ラルドは風を楽しんでいた。
■作者からのメッセージ
第二話修了です!
戦闘シーンは少ないですが、楽しんでください!

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