アル・トゥバン 第一話
作者: 烈火   2007年05月18日(金) 20時46分30秒公開   ID:.ePzohpbKOU
 暗い…、何処だかわからない、ただ、数メートルおきに、火のついた蝋燭がたっているのみ。
 それ以外の物は一切、見当たらない。
「はぁ…はぁ…、くっ!」
 1人の男が1人の赤子を抱きかかえ、暗い通路を歩いている。
「はぁ…、レグルス様…。」
 男は赤子を見て囁く。
 この赤子の名だろう。
 レグルスはグッスリと眠っている。
 やがて、この通路の出口が見えた。
「よしっ! ふん!」
 男は片手で木のドアを開ける。
 開けた途端、眩しいばかりの溢れる日光が目に飛び込んでくる。
 大自然が目の前に広がる。
 そして、男が振り返る。
 そこには大きな白い、城が建っていた。
「アリア様は頼んだぞ…、デネボラ! このアンタレス城で…。」
 男が数分歩くと、一軒の小屋が建っていた。
「よし! ひとまず此処に…。」

 暗い…星が数え切れない程に出ている。
「レグルス様! 帰って、夕食の準備ですぞ!」
「わかってるよ、タラゼト!」
 金色の髪に青いマントを纏い、剣を腰にさした少年が1人のタラゼトという男に呼ばれた。
 そして、渋々と立ち上がり、タラゼトの方に向かって走る。
「さぁ、小屋に帰りますぞ!」
 賑っていた城下町にいた2人だが、一先ず、住居である、山の小屋に帰ることにした。
 ある程度、山を登ると、一軒の古ぼけた小屋があった。
「たっだい…。」
 何かを蹴った感触がし、下を見ると、金色の髪に高貴な服、美しい顔立ちでレグルスと変わらない少女が倒れていた。
「…!! アリア様!?」
 後ろでタラゼトが声を上げる。

「う…う〜〜ん…。」
 少女はベッドで目を覚ました。
 スグ隣に少年が立っていた。
「お! 気がついたか!」
「あ…あの…何故…ここに…?」
「ん? そりゃ、俺にはわかんねー。物心ついた時からここにいたからな。」
 透き通る様な綺麗な声で少女はレグルスに向かって質問をした。
「お目覚めですか? アリア様。」
「ん? アリアってのか?」
「レグルス様、アナタの妹でございますぞ?」
「え…。」
 一瞬でレグルスとアリアの顔が赤く染まる。
「ええ〜〜〜〜〜!?」
 山に声が響き渡る。
「あの…どうして、私の名を…? それに…。」
「アナタはデネボラに育てられたのでしょう? 17年前のカストル反乱で、デネボラはアリア様を、私、タラゼトはレグルス様を育て、護ることにしたのです。」
 アリアとレグルスは上の空に聞く。
「じゃぁ、レグルス…兄さん?」
「!!」
 レグルスは顔を赤くする。
 その時、大きな音と共に木々が倒れ、男の声が響いた。
「おいおい! アリアお嬢様よぉ! 出てきやがれ! アンタレス様がお待ちかねなんだよぉ!」
「!! アヤツは…、スカト! 17年前、アンタレスと共に、反乱を起こした者!」
「ちゃっちゃと出ろ!」
 スカトは叫び、アリアを要求した。
「私が奴をひきつけます。その間にお二方は裏口から出てくだされ、そして、城下町へお逃げください。ある程度、時間が過ぎたら、貴方方の父上、ハマル様を殺したアンタレスを討つため、強くなってくだされ!」
「んな事、急に言われても…!」
「一先ず、定期便でアルダナブへ、そして、この手紙を、アルタナブを治める王に渡してください。」
 そう言うと、タラゼトは懐から手紙を取り出し、レグルスに渡す。
 レグルスは手紙を渋々、受け取り、うなずき、裏口から出る。
 そして、アリアの手をとり、走った。
「タラゼトの言うとおりにしよう! アルタナブに行こう!」
 2人は城下に走った。

「いい加減…でろ――」
「待て! スカト!」
 タラゼトは鎧を着て、大きな剣を持ち、大剣1本のスカトの前に立ちはだかる。
「!! 老いぼれジジイ!」
「貴様、デネボラは死んだか!?」
「はん! 殺したよ! でも、これからお前も死ぬんだぜ?」
 そういうと、スカトは飛び上がり、タラゼトに剣を振りかぶる。
 タラゼトは敵の一太刀を受け止め、一旦、距離を置こうと、ワザと大きく剣を振りかぶる。
「闇よ! 我敵を浄化の暗黒で包め! 魔術・黒雲!」
 タラゼトが叫ぶと、スカトの周りを黒い雲が包む。
「はん! これがどうし――!」
「ぐぁぁぁぁ!」
 雲は急に硬質化し、スカトを締め付ける。
「ぁぁぁぁ! …なんてね。」
「はぁ!」
 スカトは一瞬、力を入れると、雲が吹き飛んだ。
「燃え盛る業火の炎よ! 我意志を持て! 大魔術・火炎地獄!」
 スカトの周りから大きな火柱があがり、順にタラゼトに向かう。
「甘い!」
 タラゼトは火柱を避け、スカトに走る。
「…悪魔よ! 我命を喰らい、全てを無に帰せよ! 禁術・契約!」
 タラゼトの周りを黒い靄が包む。
 靄が消えると、タラゼトの姿は消えていた。
 そして、スカトの体は蝕む痛みと共に刻印が刻まれていた。
「あのジジイ! 何しやがっ…!」
 スカトは一旦、その場に倒れる。

「よし! 城下町、エルナトについた! 早くしないと定期便が出るぞ! アリア!」
「まってよ! レグルス!」
 2人は定期便に乗った……
■作者からのメッセージ
初めての一話です!
まだ、未熟ですが、お願いします!

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