WORLD FANTASY 第一話 |
作者:
セフィ
2007年04月15日(日) 19時29分46秒公開
ID:.ePzohpbKOU
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誰もが世界の果てを夢見る大航空時代。今、大陸アリーヴァで冒険が幕を開ける…。 一般に汚い、無法者の集まりと言われる場所、ドレッドタウンの4番街スラム。人々はスラムに住むものを無法者と呼ぶ。しかし、スラムにも、立派な志を持つ者もいる。 「ふわぁ〜ぁ…。」 朝、自室のベッドで少年レイドは目を覚ます。部屋にはベッドが1つあるだけだ。起きて間もなく、下の階から声が聞こえる。 「おぉ〜い! レイド、飯だ!」 「はぁ〜〜い!」 レイドはベッドから降り、壁に掛けてある大剣を腰に掛け、手の甲の部分にXと象った鉄の入った黒いグローブをはめ、下へと降りた。レイドは幼少時、両親を神牙という組織に殺されて以来、親代わりのクラウンの元で神牙を壊滅させる為の作戦を練るのが仕事だ。今や、神牙はスラム住民全ての敵だ。カウンターの中に下り、そのまま奥の料理場へ入る。 「おはよ!」 身軽な格好に腰に短剣を2本掛けている、レイドの幼馴染、カンナが真ん中のテーブルに腰掛けるレイドの前にグラタンを置く。奥から、剣を腰のさやに収めた大男が出てきた 「レイド! お前のお陰でここまで来れたよ。資金も貯まった…。後は…。」 「うん…、神牙を壊滅させる…! 父さん、母さんの仇を!」 「あぁ…、さぁ喰え! 今日が神牙の壊滅日だ!」 レイド、クラウン、カンナは食事食べる。やがて、食事を終らせ、建物を出た。外は汚染空気の排出されるパイプが伸び、鉄骨むき出しの家が立ち並ぶ。 「よぉ! クラウン一家! 頑張ってくれよ!」 スラムの住民が声をかける。 「あぁ!」 クラウンは力強く返す。 「怪我するなよ! 子供2人さん!」 住民はカンナとレイドをからかう様に言う。 「当たり前だろ!」 レイドも力強く返す。住民に見送られ、3人はスラムを出た。 レイドとカンナは初めてスラムの外を見る。とはいえ、ドレッドタウン内だが…。スラムから出て少し歩くと、公園の様な、空気の澄んでいる場所に出た。 「綺麗ね〜。」 カンナは公園のベンチに腰掛ける。ベンチのスグ前には綺麗な花が並ぶ。生憎、名前は不明だが、1つ、カンナは近くの木から花を1つだけとる。 「はい。レイド。」 「ん? 何だ? この花…。」 「サンキライ…。花言葉は元気になる…。アナタが何時までも元気で居られるように…。」 「あ…ありがとう。」 ラルドは照れくさそうに花を受け取る。 「時間が無いぜ…? 神牙の拠点に入れるのは1番街の情報屋サザンで入場許可証を発行してもらわんといかん。まずは北北西の1番街ニシキギを目指すぞ!」 「おぉー!」 2人は元気良く返事をする。 公園を後にして、一旦、北北西の街ニシキギを目指す。公園を出て数分、歩くと、木々が立ち並ぶ綺麗な場所に入った。基本的にドレッドタウンは綺麗な場所と汚い場所がハッキリ分かれている。 「わぁ…綺麗…。」 レイドとカンナは圧倒的なスケールのとりこになっていた。木々の立ち並ぶこの場所はドレッドタウンの密猟、伐採禁止区域になっている。様々な小鳥や小動物が珍しい訪問客を迎える。 「おっ! キツネだ!」 「こっちにはリス!」 「あまり浮かれるなよ?」 しばらくして、森林から出た。森林から出ればそこが1番街ニシキギだった。ニシキギは大変綺麗な場所だった。溢れる自然の恵みを受けていた。スラムとは大違いだ。 「あの、赤い建物がサザンだな。」 クラウンは2人を引き連れ、赤い、いっそう目立つ建物へと入った。 「いらっしゃい。」 中はカウンターがあり、サザンマスターが片眼鏡をつけ、大航空という本を読んでいた。 「ここは情報屋サザンだ! 用件は?」 「フム…、神牙への入場許可証を作ってもらいたい…。」 「許可証かい…? あいよ! なら、この契約書にサインしてくれ。」 マスターはカウンターから1枚の紙を出す。クラウンは英語で名前を記入する。 「OK! クラウンさんだね? これが許可証だ!」 許可証を取り出すと、許可証にスタンプを押し、クラウンに渡す。クラウンはそれを受け取ると、2人を連れて、サザンを出た。 「なぁ! 神牙の拠点は何処なんだ?」 「ウム…、子供の頃、商人だった親父に連れて行ってもらったからな、よく覚えておる。あそこじゃよ!」 クラウンは1番街の奥にそびえる、大きな城を指差す。拠点よりも、本拠地の様だ。しかし、美しい姿とは裏腹に、恐らく…いや、ほぼ確実に残忍な事が行なわれている…。そうに違いないとラルドは思っていた。 「行くぞ!」 「まってくれよ〜!!」 ラルドはクラウンとカンナを追うように走った。城までは長い坂が続いており、貴族街ユーラにまずは行く事になる…。 |
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