グレンデス〜神々の反乱と天空の城〜 第三話 |
作者:
セフィ
2007年04月06日(金) 21時37分09秒公開
ID:N/QMgFMlodg
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今、ジンとニイナは定期船に乗って水の大陸ラバーラへと向かっている。定期船は個室で、ジンとニイナは202号室だ。部屋の中は木の造り、殺風景でテーブル1つとイスが3つ、テーブルの真ん中には名前の知らない花がある。ジンは興奮して窓から顔を出す。下には厚雲。目の前には魚が泳ぎ、果てしない青空が広がる。 「すげ〜…!」 「ねぇ? ジン。アナタは何の属性を持っているの?」 属性とはいわば、魔法の属性。持ってる属性の魔法しか使えない。普通は2個持っている。限られた人数のみ3つ程だ。属性も持ち過ぎれば、体に幾つもの魔力が宿り、体が耐え切れない為、4つ以上持つのは不可能と言われている。しかし、精神力が高ければ高いほど、持てる属性は増える。最初は誰もが1つだ。 「俺は闇と炎だ。お前は?」 「私は水と光よ。優劣関係は知ってる?」 「……? さぁ?」 ジンは惚けた感じで答えた。 「炎属性は水に弱く風に強い。水属性は雷に弱く、炎に強い。雷属性は水に強く、土に弱い。土は風に弱く、雷に強い。風は炎に弱く、土に強い。氷属性はこの5属性とは関係も持たない。」 「でも確かさ…、後、2つあるんだよな?」 「ええ…。光と闇よ。光は闇に強く闇に弱い。闇も光に強く、弱い。氷は闇に強くて光に弱いわ。氷は炎に対して効果が半分よ。」 「あぁ…。わかった。良く覚えておくよ。」 「後ね、幻覚という属性もあるの。限られた人しか使えないけど、幻として全ての属性を操れるわ。」 話が終ると、ベルの音が鳴り響く。 「ラバーラ到着〜。お降りの方はお早めに〜。」」 係員の声でジンとニイナのみ、港へ降りた。 ジン達が着いたのは小さな港村シナル。アカダイという、一般家庭から宮廷にまで広く親しまれている魚の年間収穫量が最も多い場所だ。 「さて、都へはどう行くものか…。」 ジンが両腕を後頭部にあて、呟くと、見知らぬ少女が声をかけてきた。 「あの…、アナタ達、サザルーアに行くの?」 少女は小さなトライデントと、青っぽい服とスカートを着ていて、髪飾りをしている。 「ああ…。でも、行き方がわからないんだ。」 「あ…、私はニイナ。こっちがジン。」 「私はユリ。皇帝がサザルーアに来ると言う事で、皇帝に会いに行くの。」 「皇帝だと!?」 ジンは思わず声を上げる。 「ええ…。皇帝は災厄の神を復活させようとしていると、予知夢で…。あ、信じてもらえないのはわかってるわ。」 「いいえ…。皇帝は確かに、災厄の神グレンデスを復活させようとしているわ。」 「なぁ…ユリ…? 予知夢を見たって事は幻覚の属性使いか?」 「ええ…。アナタ達も皇帝の企みを知っているの…。どう? 私を連れて行かない?」 ユリは首をかしげる。 「おいおい…、どこの馬の骨――」 「うわっ!」 ジンはニイナに口を押さえられた。 「この子、絶対に悪い人じゃない。裏切りもしない。帝国の回し者でもない。わかるの…何となく…。」 ニイナはジンに小声でささやく。 「お願いね? ユリ。」 「ええ! ニイナさん、ジンさん。」 ユリは微笑む。 「早速だけどよ、都へはどう行くんだ?」 「ええ…、街水(ガイスイ)という場所を通るわ。とってもいい場所よ。」 「わかったわ。行きましょう!」 シナルを出てスグの場所。ほんの1,2分の場所に街水はあった。ユリの言うとおり透き通る綺麗な水が流れている。時々、水に住む魚が飛び跳ねる。 「街水は魔物も居ないし、平和な場所よ。」 ユリは先頭を進む。 「物知りだな。」 「ええ…、魔術学校へ行ってたの。」 「へぇ〜。あの有名な学校に?」 この世界では学校は進んで勉強したい者のみが通う。同じ景色が続く。10分程度同じ景色を見て、ようやく、出口だ。 「あっ! あそこよ!」 3人は走った。 サザルーアは皇帝が来ているというだけあって大賑わいだ。どうも、城にいるらしく、指導者のレバン王と話をしているようだ。 「私が、幻覚で城の兵士を欺きます。その間に、中へ行きましょう。ただし、欺いていられるのは1分です。」 「わかった。」 「わかったわ。」 「では始めます…。……はぁ!」 兵士に変わりは無いが、住民を止めていた兵士に全く気付かれずに城内へと入れた。城内部から階段を上がってスグに王室へつながる扉があり、開いていたので中へと入る。王室の扉が少し遠くにあり、走って王室の扉へ耳を近づける。 「石版の欠片は人が触れてはならない!」 小さな怒鳴り声が聞こえる。 「ならば、強硬手段ですな! 行け! フェロス! レメナ! ジャンド!」 「待てぇ!」 ジンとニイナとユリは扉を開けて中に入る。王族の身なりをした皇帝と身軽な格好でムチを持っている男フェロス。銃を所持している女レメナ。黒い鎧に大きな槍を持つジェンド。帝国ヴィルバの特殊部隊イージンの幹部だ。 「見つけたぞ! ジャンド!」 「久しぶりだな…ジン。我、息子!」 2人は見つめあい、動かなかった……。 |
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