ワンちゃんは犬神さま?!序章 |
作者:
イナエ ノマ
2007年04月04日(水) 16時42分05秒公開
ID:0e5pUDhDeoY
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序章 紗亜乃の日常 一体何が原因だったんだっけ?一体何が始まりだったんだっけ? あぁ、そうだ。全てはあそこで始まったんだ。あのコたちとの出会いも。・・・今、私がこんなことをしなくちゃいけなくなったのも、全部、ぜんぶ、ぜ〜んぶ!! え?今、何してるかって?・・・さあ、なんでしょうね〜? ・・・でも、ま、いいや、恥ずかしいけど、教えて差し上げますよっ!! 私、浅木紗亜乃は、エサの買い出し中です。・・・犬のね。 それなら恥ずかしくないじゃないって?何言ってんの。一度に5パックも買うのよ?ハンパじゃないよ。 5匹もいて、しかもみんな大食いの犬なのよ?ドッグフード買えば奇異な視線向けられるし、散歩させれば、いっぱいワンちゃん飼ってるのね、って知らないおばさんに話しかけられるし、もう散々なの!!! おまけにしゃべるし、なんかエスパー能力持ってるし、蹴るし、殴るし、エロ本読むし・・・・・。あ、あぁ、ごめんごめん、いきなりこんな話しても分かんないよね。 え〜、じゃあはじめから話していこうかな。 ・・・事件は1週間前、家でおこったんだけど。 私の家は神社で、ちょっとある物を探してて倉に入ったの。 そしたら入った途端に、なんで置いてあるかよくわからない囲碁の碁盤につまずいてすっころんじゃったんだ。 床に顔をぶつけて、思わず「ふべっ」とか言っちゃった。・・・それは、まあ関係ないんだけど。それで 、碁盤の上に乗ってたモノを落としちゃったの。それはガッシャ〜ンって、すごい音をたてて、割れちゃって・・・。 どうしようか困ってたら、急にすごい眩しく光り出して・・・気づいたら、5匹の犬が現れたの・・・。同時に変な影も飛んでいっちゃうし。 しかもその犬たちは、自分たちは妖怪と戦う犬神だ、とか言いだして。 それ以前に何で犬がしゃべるのかよく分かんないんだけど。姫呼(ヒメコ)とか、龍癒(リュウユ)とか、何か名前すらもヘンだし・・・。 はじめは信じてなかったけど、喋るだけじゃなく、エスパー能力を使ってテレビだのソファーだの浮かしたり、蹴りかかってきたり、殴りかかってきたり、エロ本読んだり、(てか、どっから出したんだろ?)その他、etc・・・ 。仕方なく信じることにしたんだけどね・・・ とにかくもう、誰か助けてぇ〜!!!! ** 「ただいまー。」 私は5パックのドッグフードを抱えて家に帰ってきた。 が、玄関のドアを開けた途端に、悪夢の日常が始まった。 「遅いっ!!!」 罵声と共にさっそく1匹の犬が蹴りかかってくる。 「ひぎゃッ!」 その蹴りは見事顔面に命中。(「見事」、なんて言ってられないけど・・・)とにかく痛い・・・。 「銀雷(ギンライ)ッ!なんで、いつもそうやって蹴ってくるのッ!?」 「早く帰って来ないお前が悪い。どれだけ待ったと思っているんだ?お腹と背中がくっつくぞ。」 「お腹と背中がくっつく、ってどっかで聞いたことあるけど、なにそれ?古すぎよ。 ・・・て言うか、私がどんだけ苦労してアンタたちのエサ買ってきたと思ってるの?一度に5パックもドッグフード買ってるの、私ぐらいしかいないわよッ。」 「馬鹿者。『大は小を兼ねる』というだろう?多いぐらいでちょうど良いんだ。」 怒る私に、銀雷はしれっとした口調で返してくる。 「いくら何でも多すぎよ!!しかもアンタが一番食べるんじゃないッ。」 銀雷がさらに言葉を重ねようとしたとき、子供の声がした。 「さーちゃーん。おなかすいたよぅ〜。」 茶の間から小さな犬が出てくる。 「ひめちゃんもりゅうちゃんも、なーちゃんもみーんな、『おなかとせなかがくっつく』って、いってるよぉ。」 「何でみんな『お腹と背中がくっつく』って言うの・・・?」 「ん、その言葉は今のリュウコウゴってやつだ。」 「何年前の話よ・・・。」 言い争う気力も無くし、私は仕方なく茶の間へと向かった。 「相変わらず、よく食うねえ。」 感心したようにお父さんが言った。 「感心してる場合?」 5匹の犬たちは、ものすごい勢いで食べている。銀雷なんかエサを四方八方に飛び散らしながら、もう10皿も平らげてしまった。 「おっ、これは誰のだ?」 お父さんが側に置いてあった本を拾い上げた。・・・まさか、その本って、 「あ、それは七緒(ナナオ)ちゃんのお気に入りの・・・。」 「七緒ぉぉぉッッッッッッッ!!!」 姫呼の言葉が終わらないうちに、私はお父さんから本をもぎ取った。 本の正体。それは・・・ 「エロ本!!」 笑顔で姫呼が言った。 「な・な・お・く〜ん。何でまたこんな物持ってるのかなあ? この前きちんと捨てたよね〜?」 私は、笑顔で本をぐしゃぐしゃにしながら、七緒に質問した。 「ささささ、さーちゃん・・・かお、こわいよ・・・・。」 それなりに迫力があるのか、子犬の水劉が震えて姫呼の後ろに隠れている。 「紗亜乃ちゃん、水劉(スイリュウ)ちゃんが怖がってるわぁ。七緒ちゃんはただ、お散歩のときに本を拾ってきただけよぉ。」 「・・・うん。そう。」 「七緒ぉぉぉッッッッッッッ!!!!」 2度目の叫び声。もう怒りは収まらない。七緒は大のエロ本愛読者で、いつも無口なくせに、それを読んで、鼻の下を伸ばしていたりするのだ。 もう、最ッ低!! 「お父さんッ!!何鼻の下伸ばしてんの!!」 「それが男の性というものだろう。・・・ふわ〜ぁ。」 「龍癒・・・。欠伸しながら言っても説得力ないから。」 って、私がため息混じり言ってるそばから、 「・・・おやすみ〜。」 「寝るなー!!人の話聞けー!!!」 龍癒は3秒もたたない内に、いびきをかいて眠りだした。 ・・・まさに、おやすみ3秒てやつね。(いや、それ以下だな、うん。) 「ん、龍癒はもう食わないのか?じゃあ、俺がもらおう。」 銀雷は、食べかけになっている龍癒の皿を自分の方へもってきた。 「ちょっと待って、銀雷、アンタそれ何杯目?」 「え〜っと、ひぃ、ふぅ、・・・。23杯目だ。」 「食い過ぎッ!却下!!」 どうやら銀雷は、さっきの騒ぎの間もずーっと食べていたようで、とてつもない量を平らげてしまったようだ。 「なぜだ?良いじゃないか。」 私がエサの皿を取り上げると、銀雷は必死に背伸びをして皿を取り返そうとする。そのとき、 「ぶッ!!」 またしても、銀雷は私の顔面に蹴りを入れてきた。・・・とにかく痛い。 「何すんのッ!!!」 「飯を取り上げるお前が悪い。」 「アンタねぇ・・・。」 5匹の犬とのハチャメチャな日々は、まだまだ続くのだった・・・ |
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