グレンデス〜神々の反乱と天空の城〜 第二話
作者: セフィ   2007年04月02日(月) 20時16分21秒公開   ID:N/QMgFMlodg
 ドスドス…。異形の怪物シーナが恐ろしい足音をたててこちらに近づいて来る。
「来るわっ!」
「言われなくても、わかってる!!」
 ジンは大きく飛躍し、シーナの頭上に舞い上がる。そのまま剣を構え、シーナの頭に乗る。
「へへっ! こっちのもんだ――」
 ジンの言葉は途中でかき消された。シーナが大暴れし、ジンを振り落とそうとしている。
「うおっ! おおぉぉぉ!?」
「何遊んでるの!? ジン!」
「これが遊んでるように見えるかよ!?」
 口喧嘩をしながら、ジンはシーナの額に剣を刺す。
「グォォォォオォォォォ…!」
 シーナは禍々しい魔力を解き放ちながら倒れた。

「何とかやれたな。大丈夫か? ニイナ。」
「ええ…。」
 ニイナはジンに返事を返すと、タイクーンとハルクゥの元へと急いだ。既に息絶えたと思っていたが、2人共、まだ微かな息があった。
「はぁ…はぁ…、うっ! ニイ…ナ…様…、うっ!」
「我々の…事…は…かまわ…ず…に。」
「喋っちゃダメよ! 今、魔法で治すから。」
 タイクーンとハルクゥはもう、自らが助からないとわかっていた。ニイナも薄々、助ける事は出来ないと感じていた。しかし、諦めきれなかった。何度も何度も、癒しの魔法クゥルを使う。しかし、傷口はふさがらない。ましてや、出血さえ、止められていない。それでも、何度も何度も、クィルを使う。
「ニイナ様…我々のこ…とは…。」
「もう…宜しい…のです。…この遺跡…の…謎を…改名…して…ください。」
 それだけ言い残すとタイクーンとハルクゥは息を引き取った。
「…。」
 ニイナは黙って、タイクーンから、妻の絵の入ったロケットを、ハルクゥからは、指輪を取った。
「行こう? 2人はこの遺跡の謎の解明をしろと言っただろ?」
「…ええ。」
 2人はタイクーン、ハルクゥを土に埋め、遺跡の奥へと足を踏み入れた。

 遺跡の奥は森で、綺麗な水があった。そして、一番奥には透き通るような泉があった。
「何か石碑があるぞ?」
 ジンの言うとおり、泉の前には古ぼけた小さな石碑の様な物がぽつんとあった。
「読めるか?」
「ええ…。」
 ニイナは前へと出て石碑の文字を読んだ。
「風の神ジーヴァ。この大陸を治めし、怪鳥ここに。」
「どういう意味だ?」
「わからないわ。」
 2人の会話が終わった直後だった。泉のさらに奥に滝があり、そこからシーナとは比にならない程の大嵐が吹いてきた。
「キャ!」
「何だ!?」 
 やがて、泉が沸騰したように泡立ち、大きく大地が揺れる。滝から流れる水の奥から怪鳥が出てきた。
「生きてここを訪れるとは…。しかし、ここが墓場だ! 貴様らごときに、この遺跡は渡さん!」
 それだけ言うと怪鳥ジーヴァはジンとニイナに襲い掛かった。

 ジーヴァは手始めに、大きく羽ばたいた。後ろの遺跡は柱が崩れ落ち、小さなつぶてが襲う。
「ぐっ!」
 つぶてがジンとニイナのいたる所に当たる。
「はぁぁぁぁ!」
 ジーヴァは羽ばたきを止めない。
「水よ! 清き青よ! 我に従え! 魔術・水撃雲霞!」
 後ろの泉から、スライムの様に水が唸り、ジーヴァの体に巻きつく。
「ぬぅ!?」
「よしっ! これで動けるぜ!」
 ジンは今までのかりを返すように剣を構え、唱える。
「黒き邪悪に身を奪われろ! 秘剣・黒剣!」
 剣の切っ先から、段々、剣は黒くなる。そして、完全に黒くなると、ジーヴァの場所へ飛び、ジーヴァを叩ききる。
「ぐがぁぁぁぁあぁぁ!」
 ジーヴァは悲鳴をあげ、その場で息絶えた。

 ジーヴァが倒れると、泉が黄金に光りだす。
「何だ!?」
 すると、泉の中から、何かの欠片の様な物が現れ、ニイナの手に乗った。
「やっぱり、これは古代の円盤の欠片…。」
「古代の円盤!?」
「ええ…。破壊の象徴とされる、絶大な力を秘めた円盤よ。集めて、円盤を完成させれば、古代神・グレンデスが復活すると言い伝えられてるわ。」
 ニイナは古代の円盤の欠片を握り締める。
「ねぇジン。私と一緒にこの欠片を集めて! 帝国は…帝国ディフェルノの皇帝は古代神を復活させようとしてるの!」
「何でそんな事をしってるんだ!?」
「私は皇帝の使用人だったの。ある日、この計画を知って…。」
「なら、皇帝も自国の欠片くらい、もう持ってるんじゃないのか?」
「ここに地図があるの。これが無いと、場所はわからないわ。」
 ニイナは5大陸の地図を取り出した。
「私と一緒に、色々な大陸へ飛んで! 旅の途中で、アナタの旅の目的も、きっと達成されるわ!」
 この世界は5つの大陸を中心に空へ浮かんでる。その大陸に眠る、欠片を一緒に探して欲しいと言うのだ。
「俺はそんな世界を救うなんて事――」
「お願い!」
 ニイナは両手を合わせて、一生懸命に頼んだ。
「…わかった! わかったよ! なら、次は定期便が出てる水の大陸ラバーラに行くぞ!」
「ええ! 定期便なら、この大陸の都フェルーナに行きましょう!」
 2人は遺跡を後にした。

 都までの道のりはそう大変では無い。遺跡からほんの5分歩いた程度で着く。そして、5分歩き、都に着く。都は大理石の様な綺麗な石で、家から町並みまでできており、古代文明の町といわれている。
「定期便〜間もなく出発で〜す!」
「急いで!」
 ジンとニイナは急いで走り、急いで定期便に乗り込んだ。定期便は空を泳ぐ巨大生物デッテルファにカゴを引かせている。つまり、デッテツファが馬、カゴが馬車だ。
「ふぅ何とか乗れたわね。」
 定期便は水の大陸ラバーラへと出発した……。
■作者からのメッセージ
これで第二話完です。
戦いが2回ありました!
次回予告 第二章 水の指導者編です!

■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集