グレンデス〜神々の反乱と天空の城〜 |
作者:
セフィ
2007年03月31日(土) 17時13分00秒公開
ID:N/QMgFMlodg
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午前…ここは大陸ジルバの南端にある小さな田舎の村。 「う…う〜ん…。ここは…?」 病院の様な白いベッドの上で少年ジンは目を覚ます。自分の剣は隣の机に置かれていた。もう1つベッドが右にあり、建物はおそらく木の造り、屋根はミズムコウという、この大陸のみに生える防水性の強い木材でできていた。寝ている所からは出入り口と奥に続く部屋が見えた。 「おぉ…目が覚めたかの?」 奥から白い髭と髪を生やし、腰巻をし、紫の服を着た老人がおかゆを持って出てきた。 「ここは…?」 ジンは不思議な顔をしながら問う。 「ここは風の神ジーヴァのご加護を受けているジルバと呼ばれる大陸の田舎の村アースじゃ。ワシはレイファ。お主は?」 「俺はジン。ありがとうな、爺さん。」 ジンはベッドに座りながら言った。 「礼には及ばん。しかし、何故、あの様な物騒な所で倒れておったのじゃ?」 「物騒…? あぁ…、シーナに襲われたんだ。」 シーナとはこの世界に生きる、コウモリの様な羽、馬の様な耳、狼の様な目つきにライオンの様なタテガミを持ち、尻尾がヘビという、いわばキマイラの様な大きな古代生物だ。存在場所は限りなく少ないといわれ、綺麗な水がないと生きれない。 「シーナに…? そうか…。」 「世話になったな。…もう大丈夫だ。」 「そうか、そうか。何があったか知らんが、道中気をつけてな!」 ジンは病室のベッドを降り、出入り口から外へ出た。村は空気が澄んでいた。自然の木々が生い茂り、王ブドウという大変大きいブドウが取れる事でも有名らしい。早い話、他の大陸よりも、遅れている。病室から出たジンはひとまず、村の外へ出ようと、門に向かう。門には1人の少女と2人の大男が立っていた。 「何だ…?」 ジンは少し距離をとり、少女達の会話を盗み聞きする事にした。 「そう…。わかったわ。行きましょう。」 「しかし…ニイナ様。」 頭にリングをつけた大男が慌てた様子で言った。少女はニイナというらしい。 「怖気づいたか? タイクーン?」 腰に剣をさした大男が言った。 「そんなワケないだろう? ハルクゥ。」 頭部にリングをしている男はタイクーン、腰に剣をさしている男はハルクゥという名らしい。 「あの遺跡には何かあるわ…。」 「しかし、あの水遺跡(すいいせき)には…。」 (水遺跡だと!?) 水遺跡とはジンが倒れていた場所だ。 「俺も行かしてもらおう!」 ジンは隠れていた場所から飛び出した。 「アナタは? 誰なの?」 ニイナは驚いた様子で聞いた。 「俺はジン。ニイナ…とかいったな? 俺はあの遺跡でシーナに襲われたんだ。かりを返したいんだ。一緒に連れてってくれないか?」 ジンは思い切って言った。後の3人は戸惑いを隠しきれない様子だった。 「大体、何で見ず知らずのアナタを一緒に連れて行かなきゃダメなの?」 「ハハハ…ごもっともだ!」 ジンは笑いながら答えた。 「ニイナ様…、シーナに襲われて生き残ったというのが本当ならば、この男は大きな戦力になります。」 タイクーンがニイナに耳打ちする。 「でも…。」 「それであの男が裏切れば、殺せばいいだけの事、試しに連れて行きましょう!」 ハルクゥもどうやらタイクーンの意見し賛成のようだ。 「どうなんだ? 連れて行くのか? 行かないのか?」 ジンはいらだたしげに言った。 「わかったわ…連れて行ってあげるわ…。」 ニイナは渋々答えた。 遺跡は遺跡というより森に近い。内部は壊れ、綺麗な湧き水が通っており、植物が生い茂る。 「ジン…? アナタの旅の目的は何なの?」 「目的…? そうだな、簡単に言えば、帝国ヴィルバの特殊部隊…イージンの幹部を殺す。」 「…過去に何かあったのね? 聞かないでおくわ。」 ジンとニイナが会話をした直後、重い足音が聞こえた。 「ニイナ様!」 「ええ…、シーナよ!」 「ここは我々に!」 突然現れたシーナに向かってタイクーンとハルクゥが剣を持って飛び立つ。 「はぁぁぁぁぁぁぁ!」 タイクーンはシーナの頭上に剣を入れようと、切っ先を下に向け、シーナの頭部に向かって落下する。しかし、甘かった。翼で邪魔をされ、タイクーンは無造作に近くの遺跡の岩に頭から思いっきり激突する。頭から血を流し、既に事切れていた。 「おのれぇぇぇ!」 怒りで我を忘れたハルクゥが足元を斬ろうとシーナの足へ走る。足を切断しようとした直前、シーナの尻尾がハルクゥに噛み付く。シーナの尻尾は意識を持ち、また、強力な毒をもっている。 「ハルクゥ!」 「来ないで!」 ハルクゥは早口に言う。 「ぐぉぉぉおぉぉぉ…。」 少しのうめき声をだした後、ついに声は出なかった。 「今度は俺達に来るぞ!」 シーナは恐怖の足音をたて、ジンとニイナに接近してくる。 |
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