残酷の夜〜実験〜 |
作者:
カロカロ
2007年10月26日(金) 20時50分01秒公開
ID:DvOG8O/vjcM
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寒々とした冬の風の中、刃渡り30センチ程のナイフが月光を怪しく反射して優美に、しかし素早く女の滑らかな腹部の皮膚を斬る。 女に悲鳴はない。一時間前、彼女の命はすでに絶えてしまったのだ。 死因は青酸カリ……有名な毒だ。ナイフを操っている男が、薬の売人から麻薬などと一緒に買い占めたもの。 世の中には、金さえ払えばどうにでもなる事がある。それが正しい悪いに関わらずだ。実際、男は数十万円と引き換えに少量の麻薬と共に購入した。 全ては、人を解剖したいという単純かつ忌み嫌われる欲求のため。 やがて、男のナイフが女の柔らかい皮膚を綺麗に縦に裂いた。 たちまち、女の腹から湯気があがって少し黒っぽさのある血液がまるで湧き水のように流れ出し、女の滑らかな皮膚を伝って地面へ染込んでいく。 男は黒さが少しある血液を見ながら、「死んでいるからなのか、それとも元からこの女がメタボ気味なのか……」と口元を若干歪めて言い、血液が未練がましく付いているナイフを自分の横へと投げ捨てる。 そして、男は今だ血がとどまる事なく流れ出す女の腹部へ、手を突き入れた。 しかしすぐに男の手はある物にぶつかった。 腹部の中で取り分け温かく、太い物……腸だ。 「邪魔だな、コレ」 男はぶっきらぼうにそう言うと、一気に腸を引きずり出した。 腸は開腹したときよりも多い湯気を出しながら地面へと転がり出る。 その長さに男は少し驚き、可能な限り腸を引きずり出す。 出し切ってみると、女の体の横に巨大な糞が出来たようだった。 それでも腸はやや動き、まるで生き物のようで男は少し気味悪く感じた。 男は、静かに立ち上がり、糞のようなそれを、思いっきり踏みつける。 まるで、泥沼を歩いているような嫌な感触と音がでる。 それに男は顔をしかめ、腸の残骸を蹴り飛ばす。 しかし、腸は身体と繋がれたままで、嫌な音を出して女のあしの方へと移動しただけだった。 「飽きた。大きさ変わっても犬と一緒かよ」 嘲笑すると男はナイフを拾い上げ、女の体を一瞥してその場を去っていった。 後には、未だに湯気をたてている死者の骸が落ちているだけであった……。 |
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