本の虫!
作者: 新米   2007年09月03日(月) 18時56分10秒公開   ID:aXte7ofHnRU
”あなたはどんなお話が好きですか?
ファンタジー、ホラー、お笑い、…それとも恋愛?
いろいろなお話があると思います。
そんなお話の中へ一度は行ってみたいとは思いませんか?
そういうあなたへこの招待状をお送りします。
きっとあなたのところへ奇跡が届くでしょう……”




私の名前は日下部 日向(くさかべ ひなた)。
今は中学二年生をやっています。
そんな私は本が大好き!
どんな部類の本だってなんでも読めちゃうんです。
でも、読んでいると時間がわからなくなってつい授業中でも読んでしまいます。
それでついたあだ名が「本の虫」。
まあ訂正する気にもならないのでそのまんまにしてあります。
さて今の時間は授業時間。
先生が一生懸命私達にわからない話をしているときです。
「日下部ぇ!!」
「はいぃぃ!!」
日向は隠れて読んでいた本まで落としていつのまにか「気を付け」の姿勢で立っていました。
「いいかげんに本読むのやめろ!いくら私が温厚だからって限度があるぞ!!」
(…温厚って…。自分で言うかっ!)
その言葉がおかしくってつい笑ってしまった。
「なぁにがおかしい?」
「いえっ!なんでもないのであります!!」
なんか変な言葉を使ってしまったが、
「よろしい。座ってよし。」
(ふぅ…。)
なんとか乗り切れた。
本を拾って今度は机の中に入れようとしたとき、本の表紙にいる人間の絵が笑った気がした。
(……?)
今度は本の表紙を見ていると
「日下部ぇ!!」
「はぃぃ!!」
エンドレス…。


「ただいまぁ…。」
ぐったりした顔で言う日向。
その顔には今まさに疲れてますっって感じの表情だった。
「お帰りぃ。」
母親がおくにあるキッチンで料理をしている。
(ふぅ…。)
早く部屋に行って学校で読めなかった本の続きを読みたかった日向は足早に部屋に向かった。
だがその時
「日向ぁ、あなた宛に手紙がきてるわよぉ?」
「え〜。どこ〜?」
「玄関においてあるわ〜」
玄関のほうへ顔を向けると本当に一通の手紙がおいてあった。
もう一度戻り手紙を手にしたとき不思議な住所が書かれてあった。
差出人の住所だ。
”夢見市 本の虫区 物語100-100-100”
(なんだこの住所…?)
消印はなし。そのまま入れていったのか。
差出人の名前は…なし!
ったくなんなの、この手紙!
少し憤慨しながら手紙を開ける。
びりびり、雑にあける音が響く。
中身は便箋が一枚だけ。
たったの一枚だけの手紙をその場で読んでみると
『あなたはどんなお話が好きですか?
ファンタジー、ホラー、お笑い、…それとも恋愛?
いろいろなお話があると思います。
そんなお話の中へ一度は行ってみたいとは思いませんか?
そういうあなたへこの招待状をお送りします。
きっとあなたのところへ奇跡が届くでしょう……』
そんな文の後にもう一枚、今度は気づかなかったが少し小さめの紙が入っていた。
そこに書いてあったのは…
『あなたが一番好きな本を12時ちょうどに読んでいてください。
そのとき物語の扉は開きます。』
(……?なに、これ?)
私は呆然としながらその”招待状”を見ていた。
(フン!ばかばかしい!そんなことあるわけ…)
と思いながらも、なかなかその招待状から目が離せなかった。
(まあ…暇つぶしにはなるかな…。)
……
その日の12時。
日向はその日学校で読んでいた本を手に持ちベットの上に座っていた。
「そろそろかな…。」
そういうと、持っていた本を開き読み出した。
すると、本がいきなり輝きだしなんかすごい風が来て…
なんてことはなく
普通に読めた。
結局最後まで読んでしまい、
(なんだ、やっぱり嘘だったのか。)
我ながらアホだったと苦笑していると、
「…!!!」
いきなり本がひとりでに開いた。
中にはびっしり文章が詰まっているはずのページには何もかかれてなく、かわりに
一つの扉が書かれていた。
そしてまたひとりでに扉が開き日向はなんの心の準備もしていないまま静かに吸い込まれていった。
最後まで吸い込まれると本はひとりでに閉じ部屋は沈黙が訪れた。
その本の題名は、ファンタジー系の「たった一つの羽を捜しに…」


fin
■作者からのメッセージ
どうですか?
なんかコメントでもください!!

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