無題 |
作者:
朱雀
2011年01月16日(日) 19時57分47秒公開
ID:VJxkhrJQxek
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雨が、降っていた。 私は、その雨で全身が冷たく濡れるのも構わず、ただ、立ち尽くしている。 私の虚ろな瞳が映し出しているのは、灰色のアスファルトにこびり付いた、赤い、血。 その横に座り込み、ソレを右手で撫でながら、ここから飛び降りて、この血を残して死んでいった、ある男の子を想う。 一週間前に、自殺した男の子。 このビルの屋上から、飛び降りた男の子。 私の、家族であり、大切な人であり、半身であり、双子の弟であった、男の子。 私と、彼は、何をする時も何処かへ行く時も 一緒だった。 私は彼で、彼は私。 ずっとずっとずっと離れることはないと思ってた。 けれど。 彼は、死んじゃった。 ------死んだ。 死んだ死んだ死んだ死んだ死んじゃった死んじゃった死んじゃった死んじゃった飛び降りた自殺したビルの屋上からその身を投じた微かな血を残して死んじゃったもう一人の自分である私を残して半身である私を残して自分の心臓である私を残して死んじゃった死んじゃった死んじゃった ねぇ。 ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ 聞いてよ。 私を置いて、勝手に死んじゃった私。 私は、私は----------- 「貴方が居ないと、生きすらできないわ」 |
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