"涙" |
作者:
四ッ谷神子
2010年05月02日(日) 17時10分21秒公開
ID:88KaFC46OYk
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私は、いつも独りだった。 生まれたときから、独り。 寂しい、とか悲しい、とは、思わなかった。 私は、自分の運命を呪ってなんかいない。 保育園、幼稚園時代は、友達もつくらず、笑うことすらなかった。 小学校では、新しく出会う人たちが話しかけてきたりもしたけど、すべて無視していた。 そして、自分の名前すら忘れていった。 名を失って、初めて本当に独りになれた気がした。 そのとき、心の中にぽっかりと穴があいた感じがした。 それから、私は近くにあった土手にのぼった。 そこから、川が見えた。 夕日に輝く、美しい川。 私は、いままで忘れていた"涙"を流していた。 私は、ひとつ、幸せを手に入れた気がした。 |
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