〜Judgement〜 |
作者:
虚無
2009年01月17日(土) 00時26分28秒公開
ID:dancrd6NOjs
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第一話【〜大天使の咆哮〜】 神と悪魔と天使――、それは人間にとって架空の存在であり、想像と妄想の結晶にして非科学・非現実的生命と考えられていた。 宗教・仏教が信仰心を養うために作られたものであり実際は何の根拠も科学的理屈もないオーバーサイエンス。 両親はその宗教に病んで他界した、とめどなく涙が出た。 悲しく遠く置き去りにされた自分を見て泣いたのだろうが少しうれしい涙も流れた気がした幼き日々。 毎日朝早く祈りをささげに出かけ弁当引っさげ夜中に帰る。 小学1年生まではまだよかった。優しい両親でよくキャッチボールをしたり遊園地に連れてってもらったりした。 2年生になると興味本位でやった宗教の餌食。 寝るときは絵本でも何でもないおびただしい数の聖書を明け方まで読まされた。 毎日が退屈でしかたがなかった、昼はテレビも付けられない外にも出られない、友達もいない、遊び遊具もない。 ふと一心不乱に山積みにされた聖書を握り破り噛み踏みしめたたき落とし燃やし濡らしてベランダから投げつけた。 その”行動”をしたときには何をしてるのか小学2年生の脳でも理解できなかった。 自由を求めているのか親の愛を求めているのかなんでやったか中3になった今でもわからない。 しばらくして玄関先についた両親は泣き崩れとっさにロープを天井からつりさげ輪を作った。 なにをしているのかわからず立ち尽くしているとすぐさま理解した。 死―。 それから数十年今は私立の中学に行っている。 義母に引き取られ別に仲良くなる兆しもないからか理由なく外に出る毎日。 両親に両手を握られスキップする子供を見ても少しも羨ましくも妬ましくもあの時やった”行動”を悔みもしない。 今日もいつものように肌にさす寒さの中、渋谷を一人歩いていた。 適当にコンビニに入り温かいピザまんを買ってほおばりながら歩く。 行先はないのでわかれ道などはダメ元。 かじかんだ体にあたたかいピザソースが沁み渡ったころ、雲ひとつない空に黒い雲が立ちこみ始めた。 「ついてないな・・・」 予想通り轟音とともに道路に打ち付ける大粒の雨が降り出した。 これじゃあ駅のホームまで走る間にズブ濡れになる。 頭をさりげなく左手で書いてまたピザまんをほおばる。 無意識に出て白い煙のように消える溜息。 「母さんに向かいに来てもらうか・・」 そう思いかたいジーンズのポケットから携帯電話を取り出そうとしたとき ――ゴオオォォォオ・・・・ 低く大きな音が上のほうから降り注いだ。 以外に大きな音が騒音の雨音の中耳の鼓膜を大きく揺らしたため少し肩をすくめ空に注意をそらす。 「!?」 だるそうにしゃがみこんでいた体に電流が走ったがごとく反射的に立ち上がった。 まわりの人々も騒然としている。 あれほどまでに空をめいいっぱいに埋め尽くした黒雲が一つさかさまの竜巻が発生したように空に吸い込まれているのだ。 そう、黒雲が空気として空が風船の壁のように。 「な‥なんだ…」 徐々にその渦巻きの勢いは増し、やがてすべての黒雲を吸いこもうとした時、爆音とともに雷鳴がほとばしりかなり離れた東京タワーに堕ちた。 その赤く長いタワーが金属が折れ曲がる音を周囲にバラ撒きながらその大きな体を地に落とした。 渦はその雷鳴を体にまきつけながら高速回転。やがて中央に穴ができた。 その変化に驚愕する間もなくくる暴風。 そして―――― 「!!??」 強風が体に当たらなくなったと思い空を見るとそこにまばゆい光を放つ巨大な4枚の翼をもつ 「て・・天使・・・・」 (聖書の挿絵で見たことがある・・あれは大天使ミカエル…!!) 緑色の長髪を背中に生える大翼の間をなびかせ瞳をつむる姿は始めてみる人間側からもなぜか不思議な威圧感を感じさせ、圧倒した。 手には金色に輝く杖が握りしめられており、握りしめられているせいかなにか機嫌の悪さを青年は感じた。 アニメなどでよく言ういやな予感―、今青年はわかった。 「ッッ!!」 とたん張り詰めた様な風が体に当たった。 刹那― ――ブオン!! 大天使は眉間にいしわ寄せ杖を上にあげ地面向け薙ぎ払った。 あり得ないほどの強さの衝撃波が体にビリビリと伝わったと思うと、遠くからわずかに人々の悲鳴が聞こえた。 その悲鳴は次第に大きくなってゆく――。 いやな汗が体から出たその刹那―――。 ――ドン!!! からだ全体を同時に張り手されたような衝撃を前面の体で受けた。 鮮血を口から吐き出したと思うと次は背中に痛みを感じた。 計り知れない破壊力の衝撃の中わずかに舞い上がる石の欠片を左目で流し気づく。 (く……そ…‥) 意識は薄れていった。 |
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